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「理解した上で、罪を犯したのか？」
「せやね。最初から理解していた」
「分かっていて、何故？」
「お姉さんには理解し難いかもしれへんけどな、俺みたいな屑だって生きたいんよ。父親が犯罪に手を染めて、その息子だって甚振られても、必死に生きてきたんや。父親のせいで職にも就けないし住むところもない。衣食住をやりきるには仕方ないんやで」
自分を屑だと言い切った男に、何も返す言葉が無い。この男は、自分を屑だと思っているのか。
それを見透かした様に、男は続ける。
「お姉さんは俺みたいな人間を屑だと思ってるんやろ？最早人間ですらない。ただの獣物だ」
「そんな事は＿＿」
「俺みたいな存在は目障りなだけや。知っとるもん。小さい頃から言われてきたからな。生きる価値もない、邪魔な存在。だからさっさと死んで欲しいんやろ？」
そう言ってから男はつまらないそうに灯りの差す方向を見つめた。
「殺したいなら俺をさっさと殺せばええやろ。俺だって禁錮は嫌だからな。一思いに殺してくれる方が、清々するわ」
「……狡いな、お前は」
無意識に呟いた言葉を、男はちゃんと聞いていた。
隈が出来た目で此方を見て侮蔑している。
男は犯した罪を理解した上で自分達を加害者にして被害者になろうとしている。
あまりの狡さに、舌を巻いた。
後ろにいる他の国官達に目をやる。全員困惑した表情で顔を見合わせ、やがて首を横に振った。
「お前に教化の可能性があるなら＿＿」
そう言いかけた時、男が唐突に割って入った。
「俺は悔い改めない」
男と視線がぶつかる。男の歪んだ顔は、どす黒い笑みが浮かんでいた。
「…そうか」
後ろにいる国官達を見渡し、口を開く。
「＿＿殺刑もやむなし、と判断する」
結論を出した途端、男が腹を抱えて笑い出した。
勝者の様な笑いに、また苛立ちと嫌悪感が募り始める。そして同時に虚しい敗北感ものぼってきた。
結局はこの男を拒む形となった。本当にこれで良いのだろうか。この男を、チーノをこうしたのは自分だったというのに。
縁談を断り、チーノの父親を狂わせ、チーノも狂わせた自分が何よりの凶悪犯ではないか。
チーノはあんなに苦しんだのに、自分はこんな悠々自適に暮らしている。
チーノは自分の存在を忘れている様だが、私はちゃんと覚えている。
一番の屑は、自分だ。
終わる事のない、無間の後悔が私を苦しめる。
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
