善役という名の悪役 zm ページ8
顔を曇らせて走っていく鬱を目で追いかけながら、私はドロドロした感情を生み出していた。
また
陰気くさくて凄い消極的で。顔の良さで生きてきた、って感じだ。
誰よりも酷い性格だと落胆しながら数学の問題を解いていれば、後ろから肩を叩かれる。
振り向くと困った顔でゾムがノートを指差していた。
「ここ、分からんから教えてくれへん？」
ノートには計算式が書かれていた跡が残っている。
途中までは合っているが解答に近付いていくにつれ間違った方へと進んでいた。
ゾムは数学は苦手だっけ。自分は周りから"優等生で優しい"というレッテルを貼り付けられているので教えてあげる事にした。
簡潔に且つ丁寧に教えると、ゾムは"なるほどな！"と納得してシャーペンを走らせる。物分かりは良いほうらしい。こうして関わる事なんてあまり無かったから、そのギャップに少し驚かされた。
「じゃあA、ここもついでに教えてくれへん？」
「あぁ、うん。いいよ」
これが鬱だったら良いのに。こんな事言ったらゾムは怒りそうだし女子からの批判も凄そうだ。
あんな女タラシの何処が良いの？、と鬱に対するヘイトも集まりそう。
鬱が振り向いてくれるまで、私は善人を演じなければならない。
あぁ、また大先生見とるんか。
自分の前に座っているAは顔が廊下の方へ向いていた。気になって俺も見てみれば、そこには走っている大先生がいて。
どうせ幼馴染を追って授業抜けてきたんやろうけど、ホンマ好きやなぁ。
けど俺の好きな奴が大先生に好意を寄せてるのが気にくわない。顔は良いかもしれへんが、性格は屑だ。優しいところもあるがそれは表だけの付き合いで裏ではボロクソに言っている。
まぁ友人の事を悪く言う俺も、屑なのかもしれへんけど。
嫉妬にも取れる感情が心を蝕んでいく。
気付いたら俺はAの肩に手を伸ばしてノートを指差していた。
「ここ、分からんから教えてくれへん？」
分からないのは事実だ。
このクラスで一番聡明なのは紛れもなくAだし。あまり関わった事ないけれど、Aが優しいのは俺が一番分かってるはずや。
だからA。
大先生なんかじゃなくて俺を見てや。
…なんて直接言えたらええのにな。
廊下にいたのが大先生じゃなくて俺だったら、Aは見てくれるんかな。
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
