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「そう、妹が。まぁ君は妹が嫌いかもしれないけど」
「そ、そんな事は一切思っておりません！」
今にも抜刀しそうなひとらん様の機嫌をとるため、そう口に出す。
「なら良かった。場所もあれだし、宮廷に来て欲しいな。掃除も他の雑仕に任せればいいでしょ？」
「で、ですが皇后様が」
「アイツはそんな事で死ぬ奴じゃない。俺の血を継ぐ者だから。しぶといよ」
「…分かりました」
ひとらん様の出す悍しい雰囲気に、私は渋々了承した。この方はどこか不気味だ。優しそうな感じがするが、汲み取れない感情が此方まで蝕まれる感じ。
宮廷へ続く道を二人で歩きながら私は尋問に近い形で受け答えしていた。
「私なりの考えですが、皇后様の容態はお子様が亡くなられた要因だけでは無いと思います。皇后様の朝餉にも、毒が盛られたと考えるのが妥当かと」
「うん、俺もそう思う」
「朝餉の食材は、庭園に流れる川で採れた新鮮な魚。刺身とお聞きしました」
その魚がとれる川に差し掛かる。何処か様子が変だった。遠目でよく分からなかったが、魚たちの動きが僅かに可笑しい。
(…まさか水銀がこの川に流れてる？水銀を口にした魚を妃と子供は口にして、影響が出た…？秦の始皇帝も、永遠の命を求め水銀を口にして死んだという話がある)
チラリとひとらん様を見る。恍惚な表情で川を泳ぐ魚たちをしゃがんで見ていた。
…そういえばひとらん様が煉丹術を使って霊薬を再現しようとしていた話を何処かで聞いた気がする。
(もしかして＿＿)
嫌な予感はよく当たる。私の視線に気付いたひとらん様は刀に手を添えながら立ち上がった。
「___気付いた？」
不気味な笑みを浮かべながらひとらんさんはそう言った。角ばった指が私の頬を摩り、首筋を撫でる。
「俺が妹を殺そうとしてるの。アイツは君のこと、好きでも何でもない。馘にしたいと言っていた。俺に頼んできたんだよ？何とかして、君を殺すようにね」
ひとらん様の手は衣服の中を弄る。
「でも俺は君が大好きだから。そんな事したくなくて。アイツを殺す事にした。ついでに生意気な餓鬼もね。君は俺に救われたんだよ？感謝して欲しいな」
片方の手で腰を掴まれ抱きしめられる。
逃げ出したい思いより、畏怖の方が強かった。
「賢い君なら分かるよね？どちらに付くべきか___」
近づいて来る口付けを、私は拒絶する事は出来なかった。
＿＿＿＿＿_____
謎の世界観
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
