ただの短編集3【wrwrd】

その顔が魅たいから rbr ページ2

いつからか俺はAに冷たく接するようになっていた。嫌い？そういう訳ではない。むしろ大好きだ。愛してる。その次元を軽く超越してるレベルだ。

Aの泣き顔がどれだけ可愛くて俺の癒しか。
これを誰かに熱弁したくて仕方がないが、そんな事をした所でみんなに引かれるだけだ。



「A、またここの書類間違ってるんやけど。ちゃんと見直した？こんな簡単な仕事も出来ないんじゃあ、話にならんで」

ただの凡ミス程度の書類をわざと大袈裟に怒ってみる。あぁ、その顔が堪らない。もっと、俺にみせて。

「す、すみません…」

既に泣きそうな顔のAは慌てて書類を受け取り、パソコンのキーボードを慌しく叩き始める。
デスクが隣の同僚が鬱陶しそうな目付きでAを睨むから、後でアイツはしばいたろ。

優秀な部下達が提出した書類を確認しながら、チラチラとAの様子を盗み見る。

次怒ったらAは本気で泣いてしまいそうだ。
泣く姿をみたい気持ちは大きいがパワハラで訴えられたり仕事を辞められたら元も子もない。

うまく、Aの事を褒め尽くして飽和させればそんな気持ちは消失するだろう。

再度提出された書類に目を通し、笑顔で"完璧やな"と言ってみせれば嬉しそうなAの顔がそこにある。

笑顔もええけどやっぱり泣き顔やな。

「次は気ぃつけるんやで。Aはお利口さんだから」

「はいっ！」

ホンマ、Aは扱いやすいわぁ。
次はどんな方法でAの泣き顔を拝もうか。

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