「わたしと弟」× 桃 ページ13
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学年1のモテ男らしい、本人曰く。
だから、嘘八百だと思ってたのにバレンタインデーにもらってきた紙袋を見て、わたしは度肝を抜いた。
小学校、中学校の記録を群抜いて更新してるではないか。
「バレンタインチョコ試食会を始めまーす!」
「誰が?」
「姉ちゃんが、」
「だと思った。 これ、あんたが心臓悪くて食べれないのみんな知らないで渡してきてんやろ?」
「どこが本命やねん」と愚痴垂れながらも定位置に座らされる。
向かい側には我が弟、お前は今日から妖怪チョコもらいだ。
「はい、では1番のチョコをお願いします。 ちなみに1番はですね、えっと、4組のココアちゃんからです」
「誰それ、人間?」
「女の子に失礼なことを言ってはいけません。 では、一口食べて感想をお願いします」
どこにでもあるカップチョコにカラフルスプレー。
作り方は、市販を溶かして型に流して冷やすだけ。
「不味くないわけないよね」
そういうと、弟はむすっと頬を膨らます。
「俺の信頼がかかってるんですけど〜?」
信頼もクソもないやんか、他人に食べさせてその感想をその犬みたいな名前の子に伝えるんなら。 とんだ大嘘つきや。
「わぁ〜、ロッテのチョコの味がする〜!」
「だめです、23点」
「君の俺への愛の熱さでチョコを溶かしてくれたのかな?」
「お、58点。 そういう路線でもいけちゃう感じ?」
「うそうそ、いけないです」 早くも顎にニキビが出てきそう。
実は去年のバレンタインに初めてこの形をとった。
弟がもらってきて、わたしが食べて、わたしの食べた感想を、弟がお返しと共に手書きで添えて。
お互いだいぶ疲れたから今年はないと思ってたのが裏切られた。
わたしだって、あんたの面子を守ってやりたい気持ちはあるよ?
でもさ、限界があるやんか。 わたしにも、あんたにも。
「今年までにするので、俺に見栄を張らせてください」
「ほんまやな、ほんまに今年までやな。 言うたで?」
「ニキビパッチと着圧スパッツ買います」
「着圧コルセットもよろしく、チョコは意外と腹にくるからな」
「はい、次2番のチョコ」
最後の120番のチョコを食べたのは、試食会4日目の深夜だった。
最後のは、悔しいくらい高い本気チョコだった。
よく高校生がこんなの買えるなってやつ。
わたしもデパ地下で見かけて狙ってたやつだったから、それは食べられて正直ラッキーだった。
(わたしと弟 × 桃)
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望 穂(プロフ) - 最近また更新頻度高く茉都香さんのお話読めるの幸せすぎます。書き手続けてくださって本当にありがとうございます‥! (2023年3月22日 20時) (レス) id: b8ce30f811 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2023年3月21日 11時