Fortunately(赤) (ページ1)

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side You

『ごめんっ、お待たせ』

桃「遅刻だけは勘弁やで？」

子どもたちが、わーーっと飛び出していく玄関で

のんが、わたしに気付いて、ちょっと呆れた顔をする。

この人は、モテる。

すっごいモテる。

わたしには、恋愛感情っていうのは全く湧かないけど

桃「あーほらっ、喧嘩せんと、仲良くな？」

「はぁい、ばいばいっ」

桃「おう、気を付けてな」

だって、ここに居る皆んなは、あくまで"一緒に暮らしてる人たち"であって

家族でも、友達でもない。

桃「おーい、行くで？」

『あ、うん。』

所謂、

"児童養護施設"

に５歳で入所したわたしは、

ここに来るまでの記憶は、全くない。

やから、辛いとか、全く思わんねん。

思い出す、親の顔がないから。

この施設にやってきて

もう１３年。

今年で、ここを出なきゃいけない。

この歳になると

施設にいる人はみんな、なんとなく切羽詰まった空気になって

話しにくいっていうか。

兄弟みたいに育ってきたけど

結局は赤の他人やから、自分のことが大事なんだ。

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