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side.N
「大ちゃん、おかわりー」
「おぉ…ってホントに食べ過ぎで腹壊すなよ」
大野さんが相葉さんから受け取った茶碗にこれでもかと白米を盛る。
部活終わりだし相葉さんにとってはいつもの事だけど、少食の大野さんや俺には到底理解に苦しむ量だ。
「雅紀。ホントに大丈夫？」
「大丈夫大丈夫！これぐらい余裕だって」
翔ちゃんの心配にもこの返し。
「大丈夫ですよ、この人いつもこうやって人の心配を無下にするんだから」
すっかりこの家に馴染んでしまった俺たち。大野さんと翔ちゃんの愛の巣なのに申し訳ない、なんて。
何かあってはこの家に集まってご飯を食べたり、特に用がなくても寄ったりしているから、軽い居候レベルかもしれない。
「大野先輩が個展開くって聞いて、ホントにビックリしたんですよ。おめでとうございます」
このメンバーの中で大野さんの事を未だにちゃんと先輩として見ているのは風間くんだけ。ちゃんと敬語も使うし、何なら真面目な話をしている印象しかない。
冗談なんかもあるのだろうけど、二人があまり大きな声で笑っているのは想像出来ない。
「いやいや。まぁ、まだ何も決まってないけどな。風間くんも皆んなも見に来てよ」
「あったり前じゃん！大ちゃんの初個展！行かない訳ないって」
それに比べて相葉さんは誰に対してもこの接し方。まぁ俺も比較的に相葉さんに近いんだけど。ここまで酷くないと思いたい。
「明日なんだよね？打ち合わせ」
「そうそう。一応スーツで行かなきゃだよなぁ」
苦笑いをしながら頭をかく。
「この中で一番おじさん何だからスーツぐらいちゃんと来てくださいよ」
身体を預けるように大野さんの肩に頭を乗せれば、「誰がおじさんだ」と額にピシャッと手が飛んでくる。
そんな大野さんを翔ちゃんがこれまた幸せそうに見つめてて。あぁラブラブだなぁ、なんて。
「智くん、今日は早く休んだら？明日早いんでしょ？」
「いや、翔くんが起きてるなら起きてる」
あんたは子供か。駄々をこねる大野さんを見て分かりやすく困った顔をする翔ちゃん。
見兼ねた潤くんが立ち上がる。
「大野さん、翔さん困ってるから。俺らももう帰りますし明日に備えて下さい」
「え、潤。でも、」
「大丈夫だから。ありがとね、翔さん」
潤くんの一声で俺たちはこの家を後にした。
まさか、この日が最後だなんて思ってもみなかった。幸せな日々に終わりがある事を俺はまだ知らなかった。
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作者名：未翔
| 作成日時：2020年3月8日 20時
