144 早起きと手紙。 ページ42
side.M
「はぁ…ねみぃ」
「松潤！おはよ。ちゃんと起きて来たんだ？さすが翔ちゃんの事となると乙女だなぁ…あ、大ちゃん！松潤来たからそろそろ起きてよ〜」
リビングに下りると寝癖を付けたままソファに転がって居た雅紀がその横に同じ様に横になっていた大野さんを叩き起こす。
相変わらずまだ眠そうな大野さんは目を擦りながらその視界に俺を見つけると優しい笑顔を向けた。
「でもニノのやつ、何で下りて来ないんだよぉ」
「ホントだよぉ」
バシバシとクッションを殴りながら和の部屋を見てしかめっ面をする雅紀に大野さんもウンウンと頷く。
今日は翔さんの誕生日当日。
昨日、突然和が『明日は5時起きでお願いします』なんて言い出すもんだから俺ら全員訳もわからずこんなに朝早く待たされているのだ。
しかし肝心の和が下りてこない。
俺は朝はめっきり弱いから今すぐ和の部屋に飛び込んで行きたいくらいなんだけど、こんな朝早くにうるさくして翔さんを起こしてしまっては俺の心が許さない。けれど、それから五分と経たないうちに和は下りてきた。
「あ、皆さんお揃いで」
「お揃いじゃないよ。もう何分待ったと思ってんの」
「相葉さん、早起きは三文の徳ですから。そんなにカリカリしなさんなって」
「で、こんな時間に何すんの？」
朝っぱらからいつものやり取りを見せる雅紀と和に呆れていると大野さんがすかさず俺の意見を代弁してくれた。
すると和はそのまま動線の先にあった椅子に腰掛けると「翔ちゃんに手紙を書きましょう」と余りにもあっさりと返した。
「は？いや、手紙はいいんだけど、何でわざわざこんな早くから？」
「そうだよ。何か理由もあんだろ？」
「いいえ。特には」
「「はぁ？」」
昨日から和が何か企んでいると踏んでいた。けど、それがまさかこういう事とは…な。
怒りというか驚きの声を上げる大野さんと雅紀を他所に「潤くんコーヒー入れてよ」と何とも自由な和はそそくさとキッチンに消えた。
慌ててその後ろ姿を追いかける。
「さっきの、どういう事だよ？」
「敵を欺くならまず味方からって言うでしょ？」
「別に翔さんは敵じゃねぇだろ？」
翔さんの事となるとつい強く言い返してしまう。
「後で分かるから…ちゃんと真面目に書いてよ、ってまぁ潤くんは言わなくても大丈夫か。あ、コーヒーはインスタントじゃないやつでお願いしますよ」
「お前はホントに…」
あざとくウインクをした和に思わず笑みが零れた。
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作者名：未翔
| 作成日時：2020年3月8日 20時
