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side.N
やけに静かな夜だ。
通話が終了した事を示す真っ暗な画面を見つめる事が俺を冷静にし同時にどん底に突き落とした。
「しょちゃ…ごめん」
全ての始まりは風間くんからの着信だった。
夕飯を終えた俺はいつも通り自室に籠ってゲームをしていた。
「あ〜クソッ」
何となくいつもの調子は出なくて変な所でミスばかりして完全にイライラしていた。
たかがゲーム、されどゲーム。
俺にとっては結構重大な事で、夜中までやる事もしばしばだから相葉さんに怒られる事もあるくらい。
ふとバイブの振動が伝わってくる。
一度ゲームを置いてその隣の携帯を拾い上げる。
「風間くんから？」
こんな時間にどうしたものかと少し緊張しながら電話に出た。
(あ、ニノ。こんな時間にごめん。しょ…櫻井先輩が倒れて今、大学病院に運ばれた)
「しょ、うちゃん？翔ちゃんは？」
(今はもう落ち着いてるから。でも話したい事があるから来てくれないかな、)
冷静に話す風間くんは淡々と言葉を並べる。それが妙に不自然で俺は更なる予感に首を振る。
コレは単なる俺の予感だ。
そう願うのに俺の嫌な予感は当たるんだ。
(櫻井先輩は……病気なんだ)
「なんで？なんで翔ちゃんが」
風間くんに聞いても仕方ないのに、誰にも答えられるわけないのに。そんな問いかけをした俺は馬鹿だった。
「ねぇ、どういうことなの？」
(詳しくは病院で話す。だから今から出てこれる？)
「なんでそんなに冷静でいれるわけ？」
その瞬間、電話の向こうでヒュっと息を呑む音が聞こえた。
そして、俺は気付いた。
全ては風間くんの必死の演技で、悲しさも苦しさも隠していたという事に。
「ごめん…大人気ないよね。病院はあそこでしょ？今から行くから。あ、相葉さんには言った？」
何も話さない風間くんに罪悪感を覚え風間くんにその隙を与えないくらいのスピードで喋り倒した。
俺は最低な事を言った。
たった一言で大切な人を傷付けてしまった。
(相葉ちゃんには連絡した。松潤には相葉ちゃんから連絡してもらうように頼んでる)
そう、全ては彼の優しさだ。
俺が潤くんに掛けるよりも恐らく冷静さを失っている相葉さんが掛ける方が相葉さん自身も落ち着く、そういう事だろう。
「さすが風間くん。じゃあ、俺は直ぐに向かいますから。一人で背負い込みすぎないで…あと、おじさんの傍に居てやって下さい」
今、俺に出来る事をしよう。
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作者名：未翔
| 作成日時：2020年3月8日 20時
