132 壊れたココロ。 ページ17
side.M
力が抜けたように倒れた大野さんに俺も雅紀も完全にテンパっていた。
それでも何とかソファーに運んで出来る限りの手当をした。でも大野さんはその間も俺らとは目を合わすことをしなくて。
きっと俺の事なんか見えていないのだろう。
「大ちゃん、何があったの？」
雅紀が大野さんの手を握って合わない視線を辿りながら優しく問う。
責めていると感じる事は全くなくて、寧ろ心配しているというのがひしひしと伝わってくる。
大野さんは雅紀のその問いに少しだけ目を泳がしたものの、何かを答えることはなかった。
「大丈夫だよ、誰も大ちゃんの事責めたりしてないからね」
壊れてしまった大野さんの全てを包み込む雅紀の優しさは俺には到底出せないものだ。
それからも雅紀が何度も問いかける。そして、大野さんの目が一瞬だけ俺たちを捉えたんだ。
「大ちゃん…」
「大野さん」
雅紀が耳を傾けてようやく進展がありそうになった時、俺のポケットが震えた。
携帯を取り出せば、和から翔さんが眠れそうにないから薬を持ってきて欲しいとメールが入っていた。
この状況下の中だが翔さんも心配だ。
「松潤、翔ちゃんの事お願いね。行ってきて」
何を言う訳でもなく雅紀はそれだけを言うと小さく頷いて俺を見た。
眠剤と水を持って二階に上がる。
「和、いい？」
翔さんの部屋の前で和を呼ぶと、暫くして扉が開いて和が顔を出した。
「あぁ潤くん、ありがと」
薬と水の入ったグラスを渡すも、和の表情には疲労と戸惑いが見えた。
「翔さん、どう？」
「最悪の事態は回避出来たって感じです。でも眠れてない所を見ると影響は出てます」
「そっか」
和のその答えでさっきの表情の意味が分かった。
「で、そっちは？」
「今、雅紀が話そうとしてる。部屋からは出てきたんだけど完全に無視っていうか、」
「ん？」
「多分、俺らの事も見えてねぇんじゃねえかって感じ」
何と伝えるべきか迷った末に出た言葉はあの時と同じだった。
「そう…俺も翔ちゃんが寝たら行くから。潤くんもあんまり無理しないでよ」
「あぁ、和は翔さんの傍にちゃんと居てやってよ」
あんまり長いと翔ちゃんが心配するからと部屋に戻った和に軽く労いの言葉を掛けて、大野さんと雅紀の元へ戻る。
リビングには相変わらずソファーで横になっている大野さんと涙を流して大野さんを抱き締めている雅紀。
俺が状況と理由を呑み込む為にはもう少し時間が必要だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 399人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未翔
| 作成日時：2020年3月8日 20時
