52 決断と告白。 ページ22
side.N
いつもの場所に12時。
緊張してか随分と早く着いてしまった。
いつもは俺が翔ちゃんを待たせる事がほとんどなのに今日はさすがに俺の方が早いようだ。
昨日、突然掛かってきた電話には驚いた。
昨日の昨日まで言葉すら交わしていなかったのが突然会いたいだなんてどうしたのだろう。
話があると言っていた。
それは俺も同じで、良かったと思うのと同時に話す内容も同じなのかと不安になる。
昨日、見てしまったあの傷。
見間違えなんかじゃない。
あれは明らかに翔ちゃんが自分でやったものだ。
あの傷を見た瞬間から俺の頭は真っ白で、それ以外のことは何も考えられなかった。
＿＿翔ちゃんと本気でぶつかる。
それが今の俺には必要なことだと思った。
「ごめん、お待たせ」
俺を見つけて走って来た彼は息を整えてそう言った。
「俺が早く着きすぎただけですから」
俺が早く着きすぎただけで遅れてもいないのだから謝ることはないのだが、それがまた翔ちゃんらしいと思った。
「少し、歩く？」
「そうしよっか」
交わす言葉はない。
お互い気まずいとは感じているし、話す内容にもドキドキしているんじゃないかと俺は思ってる。
都会の街中から少し離れた静かな辺りまで歩いてきた。
都会でもこんなに静かな所が近くにあるなんて正直驚いた。
お互いどちらから話すのか様子を伺っている。
こんなに寂しい沈黙が続くのもあまり経験はしてこなかった。
何も言わなくても通じ合っている。
そう思っていただけだから何も言わない空間も寂しくなかったんだ。
それが分かるから、だから今はこんなに辛い。
先に口を開いたのは翔ちゃんだった。
「俺から話してもいい？」
「うん」
そう言った後も翔ちゃんは中々その先が続かないようで珍しく下を向いて心を決めるみたいに深呼吸を繰り返していた。
「翔ちゃん、俺待つからゆっくりでいいから」
俺には気の利いたことは言えなくて、
焦らないでとしか言えなかった。
「別れよう」
長い沈黙の後に発せられた言葉はあまりにも悲しくて嫌いな音だった。
彼は俺の目を真っ直ぐに見つめて、そう言った。
俺には彼がもう迷っていないように思えた。
「なんで？……翔ちゃん」
でも幾ら彼の心が決まっていても俺は受け止めきれなかった。
言葉にならなかった。
「俺が…俺が悪いんだ」
翔ちゃんはそんな俺の言葉にならない思いも全てを受け入れて俺のせいだと言った。
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未翔(プロフ) - 櫻華さん» 感想、ありがとうございます！更新はスローペースとなるかもしれませんが、出来る限りしたいと思っておりますのでこれからも宜しくお願いします。 (2019年3月9日 23時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 移行、おめでとうございます。駆け足になってしまいましたが拝読しました。2人の…特に翔さんの心のうちに何があったのか気になります。それを知っての二宮さんの行動も今からドキドキしています^^* (2019年3月9日 23時) (レス) id: 643a141105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年3月9日 20時
