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「はぐみさん。コードの番号を教えて。その子の母親を殺人犯にしないために」
二宮ははぐみの目元を指で拭う。
「……1、2、8です。その三本のコードを切れば、あの爆弾は停止します……12月8日、娘の誕生日でした」
「ありがとう」
礼を言った二宮はスマートフォンの電源を入れると、櫻井に電話をかける。
はぐみの言葉が本当かどうか確かめる必要などなかった。
そんな事は、はぐみの顔を見れば一目瞭然だった。
『二宮先生、何していたんですか！あと3分しかないんですよ！』
櫻井の怒声が鼓膜に叩きつけられる。
「そんなに怒らないでくださいって。とりあえず、1と2と8のコードを切って」
『とりあえずって……間違ったらどうするんですか?!』
「大丈夫、間違いないって」
二宮が言うと、櫻井は少し黙り込んだ。
『……二宮先生は信頼していますけど、とりあえず前もって言っておきます。もしも死んだら、毎晩化けて枕元に立ちますからね』
「いいから早く切れってば」
櫻井を促すと、二宮は耳を澄ます。
数十秒後、電話の向こう側から歓喜の声が響いてきた。
二宮は笑みを浮かべ、回線を切る。
「はぐみさん、戻りましょう。あんまり体を冷やすと、赤ちゃんに良くないですから」
「はい……」
はぐみは返事をすると、二宮の頬に手を添えた。
「ありがとうございました、二宮先生。本当にありがとう……」
はぐみと二宮の視線が絡む。
頬が熱くなっていくのを感じ、二宮は慌てて空を見上げた。
木々の生い茂った葉の隙間からはらはらと、白い淡雪が舞い落ちてきた。
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作者名：未翔
| 作成日時：2023年8月9日 21時
