大野クリニックで祝杯をー淡雪の記憶ー４ (ページ32)

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ぎっしりと詰まっていた電子部品が少しずつ移動されていて、五百円玉ほどの穴が作られ、そこから白いコードが十本引き出されていた。

その一本一本に、『1』から『10』までの数字が書かれたテープが巻かれている。

「これって……」

櫻井の声が震える。

「……正しいコードを切ることで、この爆破装置は停止する。ただ、それを知っているのは、はぐみさんだけだ」

松本は穴から飛び出たコードに指先で触れた。

「それじゃあ、正解のコードを選べる確率は10分の1ですか？」

普通はこういうのは、赤か青の二択じゃないのか？

櫻井の頬がひきつる。
すると松本はゆっくりと首を左右に振った。

「いや、何本のコードを切るのかすら分からない……組み合わせは無数にある」

櫻井の口から声にならない悲鳴が漏れた。