第４章ー７ー ページ29
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「はぐみさん！ニノ！」
大野が声を上げながら扉の中に入っていく。
櫻井、相葉、松本も続いてログハウスの中になだれ込んだ。
「よくここが分かりましたね」
広い部屋の中央にいる二宮が言う。
奥にははぐみが立ち、その傍に置かれた椅子には黒い箱を膝に乗せた梅沢が座っていた。
箱のタイマーが点滅しているのを見て、
櫻井の背筋が冷たくなる。
「梅沢社長の秘書に聞いた」
大野は二宮に鋭い視線を向けた。
3時間ほど前、はぐみの家族の死に梅沢が関わっている事を聞いた櫻井たちは、真相を確かめるため梅沢の秘書に連絡を取った。
電話に出た秘書は倉田が口にした事を全て認めたうえで、数時間前から梅沢と連絡が取れなくなっている事を伝えてきた。
梅沢がはぐみに拉致された可能性が高いと判断した櫻井たちは、梅沢がどこかに不動産を持っていないか訊ねた。
警察に監視されているであろうはぐみが向かうとしたら、そのような場所だと思った。
すると秘書は、逢引き用に密かに入手していたという、この軽井沢の別荘を教えてくれたのだった。
「そんな睨まないでよ、大野さん。そりゃあさ、はぐみさんが何するつもりなのか知っていたけど黙っていたこととか、独りでここに来たことは悪かったよ。けど、これが一番良い方法だと思ったんだ。美術品盗難を防ぐことも大切でしょ」
二宮は軽い口調で言う。
大野は厳しい表情を浮かべたまま、視線を梅沢の膝の上に置かれた爆弾に向けた。
「松潤！」
大野に声をかけられた松本は、梅沢に近づいていく。
それと同時に、はぐみは逃げるように部屋の隅へと移動した。
「……もうセットされている」
箱を見た松本が緊迫した声でつぶやく。
「解体は？解体は出来るんだろ?!」
梅沢が唾を飛ばしながら叫ぶ。
大野に「どうなんだ？」と訊ねられた松本は、顔についた唾をジャケットの袖で拭きながら口を開く。
「……途中までなら俺でも可能だ。けれど、完全に解体するためには、はぐみさんの協力が必要になる」
部屋中の視線がはぐみに集中した。
「その男は私の家族を殺したんです！何でそんな男を助けないといけないんですか！」
窓を背にしながらはぐみは叫んだ。
「梅沢社長が何をしたかは全部聞いています。爆弾を解体してくれたら、ちゃんと警察に自首させます。いいですね、梅沢社長」
大野が梅沢を促す。
梅沢は逡巡の表情を浮かべながら「いや、それは……」と口の中でぼそぼそと言葉を転がした。
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作者名：未翔
| 作成日時：2023年8月9日 21時
