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「……ああ？」
開いた扉の奥に広がっていた光景を見て、
鴨志田は呆けた声を漏らす。
扉の外には４人の人物が立っていた。
東海社長と２人のキュレーター、
そしてフランスから派遣されたという女。
何でこいつらが？
部屋の隅に視線を送った鴨志田は、
さらに混乱の深みへと引きずり込まれる。
そこには猿渡と３人の警備員が、ガムテープで手足を拘束され、口には猿轡を嵌められた状態で転がっていた。
混乱した鴨志田が固まっていると、猿渡が何か叫ぶ。
しかし、その声は猿轡によってくぐもり、何を言っているのかは分からなかった。
「何なんだ、これは？」
鴨志田は呆然とつぶやく。
「サプライーズ！」
野太い声が鼓膜を揺らす。
20年近く、ともに歩んできた戦友の声。
しかし、その声は部屋の隅ではなく、ほんの数メートル先、金庫のすぐ外から聞こえてきた。
「あれ、どうしたの、そんなに目を丸くして？何か不思議な事でもあった？」
金髪碧眼の美女、さっきまで鴨志田の知らない言葉で話していた女が、流暢な日本語でからかうように言う。
その声質は明らかに猿渡の声と瓜二つだった。
「分かった？さっきインターホン越しに話していたのは俺なんだ」
けらけらと笑いながら言う金髪の女。
「……俺？お前、フランス人のアドバイザーじゃ……」
「ううん、日本生まれの日本育ちだよ。ちなみに男だから」
唐突に男だと言い張ると、
頭に手を伸ばし無造作に髪を掴んで引いた。
金髪の下から黒い短髪が現れる。
鴨志田が唖然としている前で、
男は目から青色のカラーコンタクトり外した。
「すっきりした。やっぱりカラーコンタクトって何回付けても慣れないや」
男は頭を軽く振る。
絹のような質感の黒髪が小さく揺れた。
鴨志田は次第に混乱が収まり、何が起こっているかを頭が理解しはじめる。
「……罠か」
「ご名答。ようやく状況が飲み込めてきた？」
中年のキュレーターが、
屈託のない笑みを浮かべながら前に出る。
少し遅れて、若いキュレーターも前に出る。
いや、こいつらはキュレーター何かじゃない。
鴨志田は横目で、部屋の隅に転がっている猿渡たちに視線を向ける。
この２人で猿渡たちを叩きのめし、拘束したのだろう。
単なるキュレーターがそんな事できるわけがない。
鴨志田は東海と共にいる３人が誰だか気づく。
花本はぐみを匿い、３回目の爆破を邪魔した奴らだ。
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作者名：未翔
| 作成日時：2023年8月9日 21時
