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ポケットからスマートフォンを取り出すと、
メールを一件受信していた。
送り主は聡子だった。
『ちょっと早く着いちゃったから、
先に一杯やってまーす。
六本木着いたら連絡くださいな』
「もう着いたのかよ、あの人……」
メールを読んだ櫻井は苦笑を浮かべる。
今日は三森教授について先日色々調べてもら
った礼に、六本木で聡子に食事を奢る約束を
していた。
待ち合わせ時間まではまだ１時間近くあるは
ずだが、聡子は既に着いてしまったらしい。
「……急ぐか」
櫻井は早足で歩きはじめると、ポケットに
スマートフォンを戻そうとする。
そのとき、手の中でスマートフォンが身じろ
ぎするように震え出した。
早く来いっていう聡子さんからの催促かな？
何気なく液晶画面を見た櫻井の眉根が寄る。
そこには『非通知』の文字がおどっていた。
一瞬、無視しようかと思い、『拒否』の
ボタンの上に親指をかざす。
しかし、なぜか胸騒ぎがして指を動かすこと
が出来なかった。
櫻井はゆっくりと『通話』のボタンを
親指で触れ、スマートフォンを顔の横へと
持っていく。
「……櫻井くん」
押し殺した声が鼓膜を揺らす。
「み、三森先生⁈」
櫻井の声が裏返る。
電話越しではあるがその声は間違いなく恩師
の、白泉医科大学第一外科講座教授である
三森大樹のものだった。
「ああ、そうだ…少し話をしてもいいか？」
普段は明るく軽い口調で話すことの多かった
三森だったが、電話から聞こえてくる声は、
なにか思い詰めたような低く籠もったもの
だった。
「も、もちろんです！と言うか、こっちからも何度も連絡を取ろうとしたのに出来なかったんですよ。いったい何があったんですか？」
櫻井は舌を縺れさせる。
「……少し複雑な事態になっているんだ」
「複雑な事態？いったい何のことですか？」
櫻井の問いに三森は答えなかった。
櫻井の胸に怒りが湧いてくる。
「三森先生、先生はいったいなにをしているんですか！勝本病院であったこと、あれに先生が関わっているんですか⁈」
激情が口を動かす。
三森に対して抱いている疑念を隠すことも
出来なかった。
しかし、やはり三森はなにも言わない。
「先生、なんとか言ってください！」
櫻井は唾を飛ばしながら声を荒げる。
すぐ脇を通った主婦らしき中年の女性が、
恐怖をはらんだ視線を投げかけて
足早に離れていく。
「……電話で話せるようなことじゃないんだ」
ようやく三森が答えた。
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あきら(プロフ) - 初めまして楽しく拝見してます。リクエスト募集中と云う事なので、私は山担なのでそれも赤さんを全力で守る青さんが大好きです。なので赤さんが弁護士で危険な案件に係わって、それを元刑事の青さんが助ける!サスペンスドラマ大好きなので、ハラハラドキドキしたいです (2021年9月23日 18時) (
レス) @page47 id: 0cb62e1ff0 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - いちごさん» 嬉しすぎます！お気になさらず、ぜひ是非楽しんでいってください！ (2021年9月23日 17時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - ありがとうございます。作品とても楽しくて夢中になって読ませて頂いていました。そそそそれなのに。本当にごめんなさい。 (2021年9月21日 20時) (レス) id: f705c60b1b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - いちごさん» 全然大丈夫です！！評価ボタンを押そうとして頂いただけで幸せです👏🏻 (2021年9月21日 18時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 10を押そうとした時猫が来て手が滑りました。ごめんなさい。 (2021年9月21日 14時) (レス) id: f705c60b1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月25日 21時
