第３章−４− ページ44
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二宮に催眠術をかけられた３日後の夕暮れ、
櫻井は自宅から駅までの道のりを一人歩きな
がら、赤く焼ける空を見上げていた。
この３日間、どことなく足元が定まらないよ
うな心持ちが続いていた。
勝本病院で命を落とした患者が、入れ替えら
れたものであるかもしれないと知ってからと
いうもの、胸の奥で何かがざわついている。
これからずっと、一人の男を死なせてしまっ
たという十字架を背負って生きていくつもり
だった。
どうすればその罪を償えるのか、
毎日自問し、そして答えを見出すことが
できずに悩んでいた。
しかし、自分が薬で眠らされた可能性を
知ってからというもの、心の足場が
定まらなかった。
大野の仮説はあくまで『仮説』にすぎない。
患者の入れ替えなどなく、実際に自分が酔い
潰れて、そのせいで患者が死んだ可能性だっ
て未だにあるのだ。
それにもし仮説が真実であったとしても、
自分は十字架を下ろしていいのか
分からなかった。
なにがあったにしても、自分があの男を、
腹から血を流して助けを求めていたあの男を
救えなかったことに違いはないのだから。
なんにしろ、一刻も早くあの夜に起こったこ
との真実が知りたかった。
しかし、事態はなんの進展もないまま
時間だけが過ぎていた。
三森教授が消えたのだ。
三森教授と話をすると決めた大野が必死に
連絡を取ろうと試み、さらに松本がSNSなど
を片っ端から漁ってその行方を追ったが、
三森教授は数日前、夏休みに入ってから
忽然と姿を消していた。
来週学会があるというフィリピンへ向けてす
でに出国したのではないかと櫻井は思ったが
松本曰く少なくとも正式なルートで出国した
記録はないということだった。
櫻井も大学病院の知り合い達に当たり、
三森がどこにいるのか知らないか訊ねたが、
誰一人として居場所を知る者はいなかった。
どうやら大学の方でも、休暇中とはいえ第一
外科の主任教授である三森と連絡が取れなく
なり戸惑っているようだった。
もしかしたら、自分が疑われていることに
気づいて、三森は姿を消した
のではないだろうか。
外国の隠し口座に多額の金を
隠し持っていたのだ。
少しでも危険が迫れば、正規のルート以外で
海外へ逃げてもおかしくはない。
右の腰に振動を感じ、櫻井は軽く頭を振る。
いつの間にか足を止め、空を見上げたまま
物思いに耽っていた。
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あきら(プロフ) - 初めまして楽しく拝見してます。リクエスト募集中と云う事なので、私は山担なのでそれも赤さんを全力で守る青さんが大好きです。なので赤さんが弁護士で危険な案件に係わって、それを元刑事の青さんが助ける!サスペンスドラマ大好きなので、ハラハラドキドキしたいです (2021年9月23日 18時) (
レス) @page47 id: 0cb62e1ff0 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - いちごさん» 嬉しすぎます！お気になさらず、ぜひ是非楽しんでいってください！ (2021年9月23日 17時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - ありがとうございます。作品とても楽しくて夢中になって読ませて頂いていました。そそそそれなのに。本当にごめんなさい。 (2021年9月21日 20時) (レス) id: f705c60b1b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - いちごさん» 全然大丈夫です！！評価ボタンを押そうとして頂いただけで幸せです👏🏻 (2021年9月21日 18時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 10を押そうとした時猫が来て手が滑りました。ごめんなさい。 (2021年9月21日 14時) (レス) id: f705c60b1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月25日 21時
