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「悪いけど、少し話を聞かせて
くれるかな？」
体格の良い男が近づきながら言う。
その瞬間、正平の頭の中で『美人局』という
単語が閃いた。
やばい！慌てて身を翻した正平は
出口に向かって走る。
ドアノブを掴もうと手を伸ばすと、
唐突にドアが開いた。
手が虚空を掴む。
正平は前のめりにバランスを崩した。
次の瞬間、正平は何かにぶつかり、
はじき飛ばされて尻もちをつく。
痛みに顔をしかめつつ視線を上げると、
目の前に若い男が立っていた。
どうやらこの男に衝突したらしい。
男は渋い表情を浮かべながら
正平を見下ろす。
その後ろにはポニーテールをした女も
立っていた。
「あら、グッドタイミングでしたね」
女は部屋に入りながらにっこりと微笑む。
男は横目で女を見ると、
やけに深いため息をついたあと、
つぶやいた。
「これ、いくらなんでもやばくない
ですか？」
・
「これ、いくらなんでもやばくない
ですか？」
櫻井はベッドルームで笑みを浮かべている
大野達を見ながら言う。
「なにがだい？彼は自分の意思で、すすんで
この部屋にやって来ただけだよ」
大野は近づいてくると、怯えた表情で
へたり込んでいる浅井正平の腕を取って
立たせ、その肩を友人のように
ぽんぽんと叩く。
なにが自分の意思でだ。
雅紀さんの色気芝居で誘い込んだん
じゃないか。
雅紀の女役は櫻井も思わず目を見張るほどに
しっくりときていた。
本当ならこんな美人局まがいの計画の片棒を
担ぎたくはなかったのだが、大野達に
「これは治療に必要なことなのだ」と強引に
説得され、しかたなく奈美とともにクラブで
作戦を見守る役目を引き受けたのだ。
雅紀の魅力にものの見事に陥落し、
だらしなく鼻の下を伸ばす浅井を眺めながら
「男の人って、ほんとに馬鹿ですよね……」
と不機嫌そうに低い声でつぶやく奈美に
怯えつつ、櫻井は監視を続けた。
そして、予定通り浅井をホテルへと
誘い出した雅紀を追跡して、
この部屋までやって来たのだった。
「ああ、そんな緊張しなくてもいいよ。
リラックスしてくれ」
浅井と肩を組むように並んだ大野は、
そのままベッドルームへと向かう。
浅井は身をよじって抵抗しようとするが
大野の腕力に抵抗できず、引きずられる
ように連れて行かれ、リクライニングチェア
に強引に座らされた。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
