失恋日記【AS】 (ページ5)

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仕事始めは相葉くんと一緒だった。

お互い自分の冠番組収録を終えて飲みにでも行こうか、と約束していた。

他局の収録のため店で待ち合わせていた。

「お、翔ちゃん！おつかれ」

先に店に着いていた彼は何品か注文してくれていた。

「わりぃ、遅くなった」

「ぜんぜん。巻いた方なんじゃない？もっと遅いかと思ってたよ」

「まぁ巻いた方かな」

二本撮りと雑誌の撮影。
予定より30分巻いたから好記録だ。

「相葉くんは?結構巻いたの？」

「俺もねぇ今日はちょっと巻いたかな」

「そっか、ならお互い良かった」

胃に優しい蕎麦。

その他にも軽いつまみをつつきながら酒を飲む。

相葉くんのあの笑顔にタガが外れたのかもしれない。

「翔ちゃん、大丈夫？」

「ん？なにが？」

「……ニノのこと」

少し躊躇いがちに口にした彼の名前。

「ニノがどうかしたの？」

動揺を見せないように、気付かれないように。
それでも目の前の彼は普段のバラエティーモードではない。

「俺、知ってるよ。翔ちゃんが、その、えーっと、ニノのこと好きだってこと」

「へ？何言ってんの？もう酔っちゃったの？ペース早す」

「誤魔化さないでよ！」

俺の不自然なノリは相葉くんの真っ赤に充血した目と聞きなれない怒号にかき消された。

「誤魔化すって何のこと？」

「俺もう見てらんないんだ。翔ちゃんが無理して笑ってんの。好きなのに押し殺してばっかりでさ。誰かによっかからなきゃずっと無理するでしょ」

一息で言い終えるなりグイっと酒を飲む。

彼がガンっとジョッキをテーブルに置く音と同時に涙が零れた。

「泣いていいよ、翔ちゃん。ずっと一人で誰にも言えずに辛かったね。これからは俺が毎日聞くから、ずっと傍にいるから」

「……なんで」

そんなに優しくされたらダメなんだよ。

「翔ちゃんが大好きだから。それだけの理由じゃダメ？」

いつの間に隣に来たのか。

そっと肩を抱いてくれた。

ニノ、ニノ。
大好きなんだ。貴方のことが大好きです。

だから、今はまだ失恋したくない。

こんな俺を許してください。

「翔ちゃん、大好きだよ」

「相葉くん俺も、大好きだよニノ」

「うん、言えたね。やっと言えた」

俺は墓場まで持っていくはずの想いを彼に吐露してしまった。

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「俺は自分がいちばん愛してもらってるならそれでいい」

愛する気持ちなら負けないのに、ね。

彼がこの想いを知ったらどうするかな。