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「ファンの皆さま。関係者の皆さま。日頃より沢山の応援、多大なるサポート、心より厚く御礼申し上げます。この度の二宮の決断に関し、中学生の頃に出会った幼馴染の一人としては、幸せになってほしいと願うばかりです」
嘘はない。
一つもないか？と聞かれたら少し戸惑ってしまう気はするが。
昨日の夜、ついに発表された。
ネットは一瞬にして彼の話題になり、様々な声が寄せられた。
そして、その声はメンバーである俺のもとにも届いた。
「ファンの皆さんは驚かれた方も沢山いると思います。僕は彼とは24年位の付き合いになります。中学生の時から仕事の行き帰りを一緒に過ごしてきました！戦友でもあり、大好きな親友です。二宮和也に幸あれ!!!!!おめでとう」
相葉くんの出したコメント。
ワイドショーで耳にしたその思いは彼の心からの祝辞だった。
昔からずっと共に生きてきたんだ。相葉くんなりに精一杯の激励でもあると思う。
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発表から３日後。
今日は某レギュラー番組の収録で彼と顔を合わせる。
前の仕事の関係で楽屋入りがいつもより少し遅くなっていた。
「おはよう」と扉を開ければ既に４人は衣装に着替え終わっていた。
「おはよう、翔さん。
取材結構かかったの？」
台本から顔を上げて声を掛けてくれたのは松潤。
「まぁまぁかな」
「そっか、お疲れ様」
この部屋で交わされる言葉は至っていつもと変わらない。
充電しながら携帯をいじっている智くん。
ドラマのセリフを覚えている相葉くん。
今から収録する番組の台本を読んでる松潤。
そして、イヤホンをしながら携帯を触っているニノ。
あれからの俺たちは本当に以前と変わらない。
ただ俺はどうしてもニノを見ることが出来なくなっていた。
同じ部屋にいるとどうも落ち着かないのだ。
さすがに収録中は違和感を感じないレベルには持っていけていると思う。
でも、何十年と共に過ごしてきたメンバーが気付かないはずがない。
そして周りをよく見ている彼なら尚更だ。
「翔ちゃん、大丈夫？」
「うん？なにが？」
「いや、何でもない」
カメラを気にして隣で小さく聞いてきた。
それでも俺は彼の顔をまともに見れなかった。
その声だけで胸が張り裂けそうなほどに痛かった。
貴方に恋をしたい。
欲深い自分に心底呆れかえった。
・
「己の人生の主人公は自分なんだから、自分が正しいと思う恋をすればいいと思う」
ねぇ、この恋は正しいの？
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年1月14日 9時
