032 ページ32
.
ぱちぱちと目の前で弾けては消えていく。2人して花火に魅入って最初は無言だったものの、そっちの方が勢い良いのはなんで？と聞いてきたジョングクに、知らないよと返す。
そっちがいいなぁと零す彼に自分が持ってる花火を渡して新しい花火を袋から取り出す時、私はずっと気になっていたことを聞いた
『学校辞めたらジョングクはどうするの？』
｢違う学校に入るかな｣
『そうなんだ...親御さんの出張とか？』
｢そんな所かなぁ｣
彼にはあと2ヶ月も残っていない学校生活に思いを馳せているのか、はたまた仲が良い友人を考えているのか顔に影を落とした。
『ねぇ』
｢ん？｣
『その腕、どこかでぶつけたの？』
｢っ...そ、そう。昨日滑って転んだらさ、でっかい痣出来ちゃった｣
『そんな所に？』
そうなんだ、と手持ち花火を眺めていると、ふと目の前に映るジョングクの腕に目がいった。暗くても花火に照らされた青い痣は一瞬であったが私の目に焼き付いた。
まさかね、と彼の腕を掴むとそれに驚いたジョングクが手に持っていた花火を落とす。
『こんなに痣って残るの！？』
｢残るよ｣
『残らないよ』
｢もういいってこの話は...おい、もう離せっ｣
私はただ楽しく彼と話していたかっただけ。でも目に入ってしまったそれに対しての質問や彼への不信感は増すばかりで逆に彼を傷つけてしまったみたいだった
人には知られたくない過去、傷、思いがある。それをわかっているつもりで分かっていなかったこの時の私は彼を意味もなく問い詰めて元々あった深い深い傷を抉り、開き、奥まで刺してしまったのだ
『お母さんには言ったの？この事。ここまで酷いなら病院とか、』
｢うるさい｣
『え？』
｢もういいって言ってんだろ｣
地面で輝き続ける花火が散りそうだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Labia(プロフ) - １ちゃんさん» ありがとうございます。 更新致しましたので、是非見ていってください^ ^ (2020年8月18日 19時) (
レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"（泣）更新楽しみにしてます…（泣） (2020年8月13日 7時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
Labia(プロフ) - 1チャンさん» ありがとうございます！もっと1チャンさんをそのような気持ちにできるよう書いていきますね...！更新お待たせしないよう、頑張っていきます^ ^ これからも、『おやすみわたしの愛しき太陽』をよろしくお願いします！ (2020年7月13日 19時) (レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
1チャン - Labiaさん» 読んでいてとても心が綺麗な気持ちになります（泣）更新楽しみにしてます！ (2020年7月12日 14時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
Labia(プロフ) - なむさんさん» 文章が綺麗...嬉しすぎるお言葉ですね(;_;)私がお話を作るにあたって意識している部分です。素敵な作品と言っていただいて恐縮です！私の想像で出来上がった物語ですか更に素敵な作品だったと思っていただけるように頑張ります！素晴らしいコメントありがとうございます (2020年6月14日 2時) (レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iris | 作成日時：2020年5月13日 6時
