おやすみわたしの愛しき太陽

027 ページ27

.






｢どっか回りたいとかあんの？｣


『んー、そっちは？』


｢...特にない｣


『私も』








この時回りたい場所など無く、彼が来てくれる事が目的だった私にはこれで十分と思えるほどだった。ジョングクが本当に行きたいところが無いのなら、ここにずっと座ってることになる。まぁ、それでもいいか







｢今日はAと回りたいって思ってた｣


『でもこの前は誰か誘えよって言ってたよね』


｢あれはっ...まぁ、その...｣


『誘うの、恥ずかしかったとか？』


｢.....｣








図星なんだ。そう私が言うと恥ずかしそうに最後の焼きそばを口に入れたジョングクが頷いた。彼はこういう素直な一面があった。それも愛されポイントなのかもしれないと私は思う。その姿を見て私まで何故か恥ずかしくなってしまう。彼といると胸が高鳴ることが多かった







階段に座る私たちの耳には楽しむ生徒たちの声が聞こえてくる。皆がこの限られた今を楽しむ音がする。私たちはその場から取り残されたような雰囲気だったが、それでも楽しんでいた。







『文化祭終わった後って、あいてる？皆と打ち上げとか、』


｢ない｣


『そ、そっか。じゃあこの前約束した花火しようよ』








私の話を食い気味に遮ってきた彼はキラキラと目を輝かせて頷いた。コンビニに売ってるかな？と小学生みたいに喜ぶ姿が可愛らしかった。これを言ったら彼は怒るだろうか、ならばやめておこう。ジョングクはなにかに心踊らせてる時が1番輝いていた








｢お腹とかすいてない？｣


『焼きそば食べたから大丈夫』


｢ほとんど俺が食べちゃったけど...｣


『いい食べっぷりだったね』








へへっ、と照れ笑い。本当、私はその顔が好きだ。廊下の窓から見える雨をバックにしても彼の笑顔は太陽のように私を照らすのだった









.

028→←026

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す