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『いや、まさかね...』
放課後のある日、いつも通り帰ろうと校門を潜るとジョングクの後ろ姿が見えて声をかけようとしたがそれは叶わなかった。前から低いヒールを鳴らして歩いてくる女性へ右手を上げて、母さんここだよ、と声をかけたからだった。
今は話しかけてはいけない、と悟った私はすぐに彼から離れて駅のホームに向かった。
母さんと確かにジョングクは呼んでいたし、この時期に三者面談などはありえない、彼が問題を起こしたとも考えにくい、そうなると私の脳裏に浮かぶのはあのことしか無かった
『学校やめちゃうのかな』
確定ではないと嘘をついているのは分かっていたが、いざ真実に近づくことが起こるとどうしても動揺してしまう。彼がいない学校生活など、私は送りたくはなかったのだ。
▽
次の日もその次の日もしばらく学校を休んだ彼に真相を聞くのは少し遅くなってしまった。たった数日なのにどこか痩けた様な姿に空いた口が塞がらなったのをよく覚えている。
『ちょっ...大丈夫?』
「え、大丈夫だけど、なんで慌ててんの」
『痩せた?』
「は?変わりませんけど」
『.....』
彼はこのまま否定を続けるだろう。まずなんで休んでいたの、と問うと、ずっと家にいたから、と何とも言えない回答を返してきたのだった。
「...なに。そんな寂しかったの?」
『.....まぁ、少し』
頭の中ではずっと退学の文字がグルグルと土星のようになっていたから思わず本音が零れてしまって慌ててジョングクを見ると彼も私と同じくリンゴのように頬を赤くしていたのだ。
「やけに素直だこと」
お互いそれを隠すことなく会話を続けていく中で、心配なんて消えてしまいそうだったが彼の表情がそんな私の気持ちを冷ましていった
「あのさ、俺やっぱ学校やめることになった」
前に花火大会の約束をして、数秒前は想いあってる恋人みたいな会話をしていて舞い上がっていた私の気持ちは一気に地の底まで真っ逆さまだ。
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Labia(プロフ) - 1ちゃんさん» ありがとうございます。 更新致しましたので、是非見ていってください^ ^ (2020年8月18日 19時) (レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
1ちゃん - あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"(泣)更新楽しみにしてます…(泣) (2020年8月13日 7時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
Labia(プロフ) - 1チャンさん» ありがとうございます!もっと1チャンさんをそのような気持ちにできるよう書いていきますね...!更新お待たせしないよう、頑張っていきます^ ^ これからも、『おやすみわたしの愛しき太陽』をよろしくお願いします! (2020年7月13日 19時) (レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
1チャン - Labiaさん» 読んでいてとても心が綺麗な気持ちになります(泣)更新楽しみにしてます! (2020年7月12日 14時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
Labia(プロフ) - なむさんさん» 文章が綺麗...嬉しすぎるお言葉ですね(;_;)私がお話を作るにあたって意識している部分です。素敵な作品と言っていただいて恐縮です!私の想像で出来上がった物語ですか更に素敵な作品だったと思っていただけるように頑張ります!素晴らしいコメントありがとうございます (2020年6月14日 2時) (レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:iris | 作成日時:2020年5月13日 6時