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私は未だに寝ている直に近づく
赤い頬に触れるといつもより少し熱い気がした
「はやく元気になぁれ」
そう言って直の手を握る
するとゆっくりと直の目が開いた
「直?」
呼びかけるとゆっくり顔を横にずらし私を確認する
何度か瞬きを繰り返し「Aが見える…」と呟いた直に少し笑う
「本物だよ」
「…A?」
熱のせいか、寝起きだからかぽやぽやした直が子供みたいでかわいいなと思った
「お粥食べれそう?」
「うん、食べる」
「ちょっと待ってて」
吉田さんが買っておいてくれたお粥を温めて直の所へ戻る
ベッドの上で起き上がった直にお粥を差し出すが、それを受け取ろうとしないため、私は一口すくって、息をかけて少し冷まし直の口元に持っていく
「熱くない?」
「大丈夫」
少しずつおかゆを食べていたが、半分くらい食べたところで「もういらない。おなかいっぱい」と言ってベッドに戻ろうとする直を慌てて止める
「待って待って、薬飲んで」
そう言って直に薬とお水を渡す
その後直は熱を計り、またベッドに戻った
直から手渡された体温計は38度を示しており、まだ熱は下がっていないようだった
いろいろ片付けようと立ち上がって直から少し離れると、後ろから「A」と呼ばれて振り向く
「ん?」
「行かないで。そばに居て」
熱のせいか直の大きな目が不安げに揺れていて、慌てて直のそばに戻る
「大丈夫だよ。そばにいるよ」
そう言って直の手を握る
「ありがとう」
直は安心したのかゆっくりと目を閉じる
熱で少しわがままに、子供っぽくなってる直がかわいいなと思う
直が寝たのを確認して、手を離してお粥などを片付ける
その後またベッドに戻り直の手を握りしばらく寝顔を見つめていたが、いつの間にか私も眠ってしまっていた
次の日、携帯の振動で目を覚ますと吉田さんからだった
繋いだままだった直の手を離して、ドアの付近で電話に出る
「もしもし」
「あ、起きてた?おはよう」
「今起きました。おはようございます」
「毛塚、どうかな」
「まだ眠ってて、熱は測ってないです。昨日の夜は変わらず38度ありました」
「そっか…。そろそろ監督もそっち行くと思うから…」
「あ、じゃあ私そろそろ部屋に戻ります。直のことよろしくお願いします」
と言って電話を切る
直に「無理しないでね」と声をかけて部屋を出ると、ちょうど吉田さんに会った
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れな(プロフ) - ゆうにゃさん» ありがとうございます!ゆっくりな更新になってしまうと思いますが、これからもよろしくお願いします! (2018年1月13日 21時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうにゃ(プロフ) - すごく面白いです!続きが楽しみです!更新大変だと思いますが、応援してます! (2018年1月4日 0時) (レス) id: 76af58504e (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 陸王最終回号泣さん» コメントありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2017年12月30日 17時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
陸王最終回号泣 - めっちゃ面白いです これからも更新楽しみにしています! (2017年12月28日 13時) (レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - ぽんすさん» コメントありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2017年12月28日 12時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2017年12月11日 3時