陸王

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｢裕人？｣


気になった私は裕人のところへ行く


｢対談は別の人でいくって。俺じゃ釣り合わないって。そりゃそうだよな、大会2位と怪我人の俺じゃ釣り合わないよな｣


｢そんなことないよ｣


｢あるよ｣


そう言って裕人は自嘲気味に笑った


｢あー、腹減った！飯飯！お前も飯食え、な！｣


わざと明るい声を出して裕人は席に着く


｢いただきまーす！｣


そんな裕人を見て私も凛の元に戻る


｢毛塚が断ったのかな｣


｢いや、そんなこと一言も言ってなかったけどなぁ…｣


｢じゃあほんとに釣り合わないってことかぁ｣


｢凛｣


裕人に聞こえては困ると凛を咎める


その日の練習中


そろそろロードワークからみんなが帰ってくると思い、ストップウォッチを持ってトラックに出ると観客席に宮沢さんらしき人がいた


｢あれ？宮沢さん？｣


その言葉を聞いて監督が私の視線の先をたどって観客席を見る


｢またあいつか。懲りないな｣


そう言って監督はため息をつく


そんな会話をしているとみんなが帰って来たため私たちは宮沢さんから視線を外す


その後タイムをまとめたりストレッチを手伝ったりして、思い出したように観客席を見上げると宮沢さんはもういなかった


｢応援かなぁ｣


加瀬さんのストレッチを手伝いながらそう呟く


｢え？｣


｢あ、なんでもないです！｣


そしてクールダウンも終わりみんなバラバラと部室に戻っていく


すると先程まで裕人がいたところにタオルが落ちていた


｢普通タオル忘れるかね｣


そう言って裕人のあとを追うと、宮沢さんとなにか話をしていた

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