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裕人と2人で直と吉田さんの後ろ姿を見ていると裕人が小さな声で話しかけてきた
「お前、日曜のこと毛塚になんて言ったんだよ」
「休日出勤って言った。なんで?」
「いや、なんでもない」
そういう裕人の顔は先程よりも少し疲れているようだった
「ほら、立原さんのところ行こ!」
そう言って私と裕人はみんなのところへ向かった
その後立原さんたちはストレッチやアップをしていたが、レース開始時間が近くなってきたアナウンスが流れたためスタート地点に集まる
「前半は抑えていけ。自分のペースを崩さなければ今のお前なら上位に食い込める。焦んなよ」
「はい」
「頑張ってください」
「おう」
「立原さんなら絶対大丈夫です!」
「ありがとう」
そう言って笑顔を見せる立原さんから上着を受け取る
レースがスタートし、私たちは室内に移動する
35km地点ではワンジャラ選手と神林選手と立原さん、そして直が先頭集団にいた
が、少しずつ立原さんが遅れをとる
「立原さん、頑張れ、頑張れ」
そしてもうすぐワンジャラ選手たち先頭集団がトラックに帰ってきそうなので外に出て立原さんを迎える準備をする
「先頭来たぞ」
という平瀬さんの声に視線をあげるとワンジャラ選手が帰ってきた
やっぱ外国人選手ははやいなーなんて思いながらワンジャラ選手を見ていると「毛塚…?」という声がして視線をワンジャラ選手から外す
「嘘…」
まさか神林選手を抜いてくるとは思わなかった私は口元を手で覆う
「信じらんねぇよ。あいつ、つめてるぞ」
平瀬さんの言葉の通り、直はどんどんペースを上げ、トラックに戻ってきた時にあったワンジャラ選手との差をゴール間際で半分以上つめてゴールをした
倒れ込んだ直は「くそ!」と言いながら悔しそうに芝生を殴った
吉田さんの手を振り払い一人で立った直は歩き出した
すると隣に立っていた裕人がゆっくりと直に近づいて行くので、それを少し後ろから見ていた
直の前に立った裕人は「おめでとう」と言って手を出したが、直はその手を取ることなく通り過ぎる
その後ろにいた私の顔を見て直はわずかに笑みを浮かべた
悔しそうな直に、どんな表情でどんな言葉をかければいいか分からなかった私は直から目をそらす
すると「茂木!Aちゃん!」と平瀬さんから声がかかったため、慌てていつの間にかゴールをしていた立原さんの元へ向かった
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れな(プロフ) - えさん» クールのクの字もない毛塚ですが、今後ともよろしくお願いします!(笑)私も気になります毛塚と付き合うまでの話…(笑)私にかけるか不安ですが考えてみます! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 湖泊さん» 最高の作品とのお言葉、とても嬉しいです(; ;)これからもよろしくお願いします! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
え - れなさん» 思いつきました!回想みたいなかんじで主人公と毛塚が付き合うまでのお話をぜひ読みたいです。ご検討お願いします。 (2017年12月9日 21時) (レス) id: 132dc564f2 (このIDを非表示/違反報告)
え - れなさん» 弱気な毛塚すごいよかったです!原作でも詳しくは描かれてないとのことでしたので難しいかと思いますがぜひまだまだ見たい気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!厚かましくリクエストなんてすみません。また思いつきましたら書かせていただきます。 (2017年12月9日 9時) (レス) id: 132dc564f2 (このIDを非表示/違反報告)
湖泊(プロフ) - れなさん» 最高の作品です!いえいえ! (2017年12月9日 1時) (レス) id: 7c2244ffc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2017年11月8日 22時