陸王

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練習前、先日のロードワークのタイムを監督と見ながら歩いていると｢監督！｣と声がかかり、振り返る


するとそこには宮沢さんがいて、隣の監督がため息をついたのがわかった


｢またあんたか｣


｢一言だけでも、茂木選手と話をすることはできませんか？｣


｢茂木は今別メニューでトレーニング中ですから、ここにはいませんよ。悪いが部外者をグラウンドに入れるわけには行かないんだ。お引き取りを｣


そう言って監督は歩き出したので、それに続いて行こうとすると宮沢さんに声をかけられた


｢Aさん！茂木さんは陸王を履いてくれましたでしょうか？｣


｢裕人は今…｣


｢A！｣


陸王を履いています、と続けようとしたがそれは監督によって遮られた


｢早く来い！｣


｢はい！宮沢さん、すみません｣


そう言って頭を下げ監督を追いかける


｢余計なこと言うな｣


｢別に余計なことじゃないと思うんですけど…｣


そう拗ねたように言うと監督の舌打ちが飛んできた


｢ところでお前、足袋屋と顔見知りか？｣


｢…え、ちょっと何言ってるかわからないですけど｣


そう言うと私たちの間に沈黙が流れる


｢お前、あの足袋屋行ったろ｣


｢…なんの話ですか？｣


｢おい、｣


｢あ、内藤さんのストレッチ手伝ってこよー｣


これ以上追求されないように監督の言葉を遮り、内藤さんの元へ向かった

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