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豊橋国際マラソンからしばらく経ったある日
会議をしていると監督が呼ばれて会議室から出ていった
しばらくは当たり障りのない会話を続けていたが、やはり監督がいないと会議が進まないことがわかった
「いやぁ、やっぱ監督がいないと話が進みませんなぁ」
無言に耐えられなくなった私がそう呟くと全員の視線が私に集まった
「…呼んできます」
そう言って私は会議室をあとにする
「なんで私が探しに行かなきゃいけないの…。もう、監督どこいったんだろ」
ぶつぶつ文句を言いながら歩いていると「茂木を実験台にしようっての?」という監督の声が聞こえてきた
イライラしてるなぁ
「あの、監督…」
私の声に振り向いた監督は助かったと言うような顔をした
「会議を中断してるんで。申し訳ないけど、これで」
そう言ってこちらに歩いてくる監督を遮るように男性が立ちふさがる
「とにかくこれ、茂木選手に渡して頂けませんか?お願いします」
男性が押し付ける紙袋をめんどくさそうに受け取った監督はトレセンの中に入る
私は監督を小走りで追いかけ、紙袋の中を覗く
「なんですか?これ」
「足袋屋が作ったランニングシューズだと」
「へぇ」
その後何事もなく会議を終え、内容をメモしたノートを見返してると監督の大きな声が聞こえ、思わず足を止める
「普通はな!!短距離選手がよくなるんだが、茂木の走り方に問題があるようでね、今のまま走り続けるといつまた再発するかわからない。で、村野さんとも相談してフォームを変える練習をしようかと」
「今やらないと彼の選手生命に関わります。もちろんそれに合わせてシューズも1から調整し直す必要があるでしょう」
それを聞いた佐山さんは先程監督が受け取ったランニングシューズをゴミ箱に捨てた
拾いに行こうと一歩踏み出すと平瀬さんに声をかけられる
「Aちゃん」
「はい」
「テーピングお願いしてもいい?」
「はい!」
後ろ髪をひかれる思いで私はその場をあとにする
この時私はゴミ箱に捨てられた陸王が裕人の運命を大きく左右することになるとは思ってもみなかった
1話END
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れな(プロフ) - えさん» クールのクの字もない毛塚ですが、今後ともよろしくお願いします!(笑)私も気になります毛塚と付き合うまでの話…(笑)私にかけるか不安ですが考えてみます! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 湖泊さん» 最高の作品とのお言葉、とても嬉しいです(; ;)これからもよろしくお願いします! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
え - れなさん» 思いつきました!回想みたいなかんじで主人公と毛塚が付き合うまでのお話をぜひ読みたいです。ご検討お願いします。 (2017年12月9日 21時) (レス) id: 132dc564f2 (このIDを非表示/違反報告)
え - れなさん» 弱気な毛塚すごいよかったです!原作でも詳しくは描かれてないとのことでしたので難しいかと思いますがぜひまだまだ見たい気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!厚かましくリクエストなんてすみません。また思いつきましたら書かせていただきます。 (2017年12月9日 9時) (レス) id: 132dc564f2 (このIDを非表示/違反報告)
湖泊(プロフ) - れなさん» 最高の作品です!いえいえ! (2017年12月9日 1時) (レス) id: 7c2244ffc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2017年11月8日 22時