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『ウェンくん、?』
入学式当日。
見覚えのあるピンク髪の男の子に、思わず声をかけてしまった。
赤城ウェンくん。幼稚園で一緒だった男の子。そして、私の初恋相手。
最後に会ったのはもう10年ほど前のことで、相手が覚えている確証などない。
私は突然声をかけてしまったことを後悔した。
目の前の男の子は目をまん丸にしてこちらを見つめるばかり。しかしその表情にも懐かしさを感じるから、やはり彼はウェンくんなのだろう。
「…Aちゃん?」
柔らかい声で私の名前を呼ぶ彼は、信じられないと言いたげな顔をしていた。
「Aちゃんだよね?!ここの学校だったんだ!」
いぇーいと言いながら両手をこちらに見せてくる彼。きっとハイタッチの合図だろう。
私は彼の行動に流されるがまま、彼の両手に自分の手のひらをぶつけた。ぱちん、と子気味のいい音が鳴って互いに再会を確認した。
「ほんと久しぶりじゃない?幼稚園以来?」
『そうだよね!よかった人違いじゃなくて』
「よく気づいたよね〜僕だいぶ幼稚園の頃と変わったと思うんだけど…」
そう言って彼はあはは〜と軽く笑った。
いい意味でケロッとした爽やかな笑顔は正しくウェンくんそのもので、私はなんだか安心してしまった。
『すごいかっこよくなったと思うよ、ウェンくん』
その言葉に深い意味はなかった。純粋にかっこよくなったなと思っていた。
しかしかっこよくなったと言われた張本人は、また目を丸くしたあとに「え??!」と声をあげていた
急に声をあげられてこっちもびっくりしてしまい、『え?』と聞き返してしまった。
「僕のことかっこいいと思ってくれてたの?」
『え?あぁうん、かっこよくなったなーって』
「ほんとに?」
ぐっと距離を縮めて訊いてくるもんだから、反射的に1歩後ずさりして『うん、』と返事をしてしまった。
私の返事を聞いた彼は、ちょっと恥ずかしそうで、でもとても嬉しそうな笑みを浮かべた。
「へへっ、嬉しいなあ。Aちゃんにかっこいいって思われたんだ」
『?言われ慣れてるんじゃないの?』
彼のこのかっこよさは今に始まったことではない。
幼稚園の頃も十分かっこよくて、同じ幼稚園の女子は1回は赤城ウェンに恋をしていたと言っても過言では無いのだから。
「色んな子からのかっこいいより、好きな子からのかっこいいのほうが何倍も嬉しいでしょ?」
その瞬間、ふんわりと優しい風に乗って、桜の花びらが私たちの元へ運ばれてきた。
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にゃみ - こんなに早く書いて下さりありがとうございます🥺めっちゃくちゃよかったです🥺🥺頑張ります頑張れます!ありがとうございました!これからも見させていただきます♥️ (2月14日 2時) (レス) id: a7e951352a (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - にゃみさん» くすぐり合いっこ、ぜひ次回の更新時に書かせていただきます!素敵なリクエストありがとうございます!!🥹大学勉強など色々大変かと思いますが無理せず頑張ってください…! ❤️🔥 (2月7日 0時) (レス) id: 075899a0c9 (このIDを非表示/違反報告)
にゃみ - めちゃくちゃ大好きです🥺🥺更新いつも楽しみにしています✨️もし宜しければ、くすぐり合いっこ的な感じのシチュエーションのリクエストをお願いしてもいいでしょうか?全然遅くなっても大丈夫です!これを糧に大学頑張ります…! (2月6日 0時) (レス) id: a7e951352a (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ^ - ^さん» コメントとリクエストありがとうございます!🙇🏻♀️💞隣の席、次の更新で書かせていただきます!これからもどうぞよろしくお願いします🫶🏻 (1月7日 1時) (レス) id: 075899a0c9 (このIDを非表示/違反報告)
^ - ^(プロフ) - めちゃくちゃ刺さりました…😭😭😭大好きです🫶もしよろしければ学パロで隣の席のorsお願いできませんでしょうか…?これからも応援しております…🫶🫶 (1月6日 21時) (レス) id: 217d0834ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪兎 | 作成日時:2024年1月4日 17時