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『小柳先輩〜!』
「げ、来たな」
私が声をかけると、小柳先輩は嫌そうな声を出した。
失礼じゃないですか??
でもそんなことはお構い無しに話を続ける。
『卒業おめでとうございます!』
「あぁ、どーもどーも」
『星導先輩もおめでとうございます!』
「え、ありがとう」
2人とも相変わらず返事に覇気がない。
卒業するときってもっと嬉しそうだったり寂しそうだったりするもんだと思ってたけど、2人にはそれが通用しないみたいだ。
「あ、そーだ。A、手出せ」
『?はい』
素直に手を出せば、小柳先輩は何かを渡してきた。
小さく丸いそれは、太陽の光を反射して金色にきらきらと光っていた。これはもしかして……
『第二ボタン、ですか?』
「お前にやる。ありがたいと思えよ」
「も〜小柳くん素直じゃないですねぇ」
「うっせ星導」
星導先輩にからかわれている小柳先輩の顔は心なしかほんのりと赤くなっていて、私の心臓はきゅっと締めつけられるような思いだった。
こんなことをされたら、勘違いしてしまう。
「…なにその顔、いらなかったのか?」
『欲しいです!欲しいんですけど、そのー…ね?』
「なんだよw言いたいことあるなら言えよ」
そう急かす先輩の顔はいつにも増して優しくて。
速く脈打つ心臓を落ち着かせるようにゆっくり呼吸をしてから、私は声を発した。
『先輩は私のこと、どう思ってるんですか』
すると先輩は一瞬目を見開いて、でもすぐにいつもの顔に戻って「はぁ〜?」と声を出した。
その次に繋がる先輩の言葉を待っていると、先輩はふっと面白そうに吹き出した。
「なんとも思ってねえ奴に第二ボタンあげるような男だと思われてんの俺」
『いや全然!でも、だから私にくれるとなると勘違いしちゃうというかなんというか』
「勘違いしていいだろ、俺もそのつもりだし」
『え、?』
平然と言われた言葉に耳を疑った。
勘違いしていいというのはつまりそういうことだろう。
想いが届いたことを理解した私は、感極まって涙を一滴、また一滴と流してしまった。
先輩の卒業式は笑って送り出すって決めてたのにな
「えっなに泣いてんの」
『すみません嬉しくて、…』
「ったく、ほんとかわいい奴だな」
頭にぽん、と何かが乗った感覚がした。
先輩のほうを見ると、仕方ないなと言いたげな優しい笑顔を私に向けていた。
「これからもよろしくな」
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にゃみ - こんなに早く書いて下さりありがとうございます🥺めっちゃくちゃよかったです🥺🥺頑張ります頑張れます!ありがとうございました!これからも見させていただきます♥️ (2月14日 2時) (レス) id: a7e951352a (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - にゃみさん» くすぐり合いっこ、ぜひ次回の更新時に書かせていただきます!素敵なリクエストありがとうございます!!🥹大学勉強など色々大変かと思いますが無理せず頑張ってください…! ❤️🔥 (2月7日 0時) (レス) id: 075899a0c9 (このIDを非表示/違反報告)
にゃみ - めちゃくちゃ大好きです🥺🥺更新いつも楽しみにしています✨️もし宜しければ、くすぐり合いっこ的な感じのシチュエーションのリクエストをお願いしてもいいでしょうか?全然遅くなっても大丈夫です!これを糧に大学頑張ります…! (2月6日 0時) (レス) id: a7e951352a (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ^ - ^さん» コメントとリクエストありがとうございます!🙇🏻♀️💞隣の席、次の更新で書かせていただきます!これからもどうぞよろしくお願いします🫶🏻 (1月7日 1時) (レス) id: 075899a0c9 (このIDを非表示/違反報告)
^ - ^(プロフ) - めちゃくちゃ刺さりました…😭😭😭大好きです🫶もしよろしければ学パロで隣の席のorsお願いできませんでしょうか…?これからも応援しております…🫶🫶 (1月6日 21時) (レス) id: 217d0834ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪兎 | 作成日時:2024年1月4日 17時