15話 ページ16
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「……プロ…ポーズ…?」
訳が分からない。
どういう事だ。
兄さんがプロポーズ?
なんで。
「……寛の今の彼女知ってる?
ふわふわの髪の毛で、
可愛らしい目元で、
それでいて、守ってあげたくなるような、
そんな子
……寛は、
そんな子に今日プロポーズする予定だったの」
嘲笑うように吐き捨てるその言葉に。
何も返せない。
「私が、可愛い子だったら、
私がこんな性格じゃなければ、
あと少し、頑張れたら…っ…
………変わってたの…?」
Aさんの頬に雫が見えた。
それが、1つ2つと増えて、
泣き声も段々大きくなる。
その悔しくて悲しい気持ちは、
自分への気持ちだろうか。
「…っ…ぁ……なんで…っ…私の方が…
寛が好きなのに…なんで…!」
やめてよAさん。
泣かないで。
泣かないで。
泣かないで。
「……真冬君…助けてよ…どうやったら、」
Aさんにもう話させたくなかった。
悲しんで欲しくなかった。
そんな気持ちが焦ったのか、
Aさんの言葉を待つ前に、
自分の手で、Aさんの目を塞いだ。
Aさんは驚いたのか、声が止まった。
もう、兄さんになんて譲らない。
俺も見て、Aさん。
朝日が顔を出した瞬間、
俺は、Aさんの唇を自分の唇で塞いだ。
ただただ、太陽が眩しかったのを、
覚えている。
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作者名:とある甘いもの | 作成日時:2019年11月14日 18時