Prolog ページ1
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それは、学生の時だった。
「真冬、
今日からお前のお兄さんになる人だよ」
親から急に言われ、戸惑った。
赤の他人が突然家族になる不快感。
自分の居場所は確保できるのか。
目の前でニコリと笑い、よろしくと言ってきたそいつが怖かった。
「どちらも大事にしたい、真冬も、寛くんも」
その一言の通り、親はちゃんと平等に育ててくれた。
怒る時も、褒める時も。
でも、兄さんは優秀な人だったから。
勉強もスポーツも出来て、顔も健康的に整っていて。
少し幼い性格から、いつも人気者で。
比較されたくなくて、逆の道へ行こうと、音楽に必死になった。
何か一つ、兄さんよりも優れているものが欲しかったんだ。
それは、恋愛でも同じ。
兄さんといつも居る女友達の1人。
子供っぽい兄さんをいつもサポートしている、姉御肌な人。
そして、兄さんの事が好きな
見ていて辛かった。
兄さんが女と付き合う度に、苦しそうにしているその姿が。
俺の方が、大切に出来るのに。
────結局、片想いは、
十年以上経った今でも続いている。
兄さんのおまけというように、
その人にたまに会うから。
前会ったのは兄さんとその人率いる何人かで、海外へと遊びに行く直前だった。
表情で全部分かった。
あぁ、まだ兄さんの事好きなんだ、って。
いつかこの恋、
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作者名：とある甘いもの | 作成日時：2019年11月14日 18時
