シェアハウス物語17

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K.F.side

「勝利、危ないから。な？」


近づいて強引にこちらへ連れてくるべきか

このまま見守って、勝利の気持ちが少し落ち着くのを待つべきか

どうすればいいのか、分からない


ただ、何かを間違えたら、今度こそ勝利は本当にボロボロになってしまうような気がした



風「勝利、大丈夫だから。こっちおいで」

勝「…っ、」

風「お、っと、…ぶねぇ、」

目眩がしたのか、突然ぐわんと体が大きく揺れて慌てて抱き抱えた

あと少し遅かったら、グラスの破片にしゃがみこんでしまうところだった



…危なかった

怪我させてしまうところだった




風「大丈夫？目眩した？」

勝「…、っ、」

でも、呆然としていて俺の声が届かないのは相変わらず

勝利、どうしちゃったんだよ…

どうしてあげればいいんだろう…




健「どうした…？……あー、割れちゃったか」

中島が物音を聞いて、起きてきてくれたのは不幸中の幸いだと思う

破片は中島が片付けてくれる事になったから、勝利を支えてソファーへ移動した



風「体調、大丈夫か？」

勝「……」

風「寒くない？毛布、もう少しいる？」

勝「……」

ソファーに座っても、相変わらず

話すどころか、どこか分からない一点をずーっと彷徨っているだけで、目すら合わない


…ほんと、どうしちゃったんだろう

このままじゃ消えてしまいそうで、怖い




健「勝利、もう綺麗になったから大丈夫だからね。
…もしよかったら、これ飲む？」

中島がそう言ってテーブルに置いたのは、温かいお茶


言葉も届かない今の状態の勝利が、何か飲み物を飲むことは無理じゃないかな

と思ったんだけど



勝「……、」

健「おっ、飲むか？」

風「熱いから、ゆっくりね」

意外にも、勝利は湯呑みを手に取ると一口、口に含んだ


健「どう？美味しい？」

勝「…ッ、ケホケホッ、っ、ゲホッ、」

風「大丈夫？むせちゃった？」

突然むせ出したから、慌てて湯呑みを勝利の手から離したその瞬間


勝「…っ、うぇっ、ッ、ゲェェッ、」

風「おっと」

健「あぁぁ、まじか」

勝利が突然嘔吐してしまった



勝「ゲェェ、ッ、っおぇぇ、」

健「よしよし、大丈夫だからな。
気持ち悪くなっちゃったな…」

お茶を戻した後、そのまま胃液まで吐き続ける勝利にショックが隠せない

お茶すら飲めないほど胃が弱っていたなんて




勝「…ゲェェ、っ、」

なんで、こんなになるまで助けてやれなかったんだろう

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