シェアハウス物語17

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S.S.side

勝「は、っ、いやっ、」

風「はい、もうおしまい」

呆然としていると、風磨くんが俺の手からカッターを取る


あぁ、もう終わりだ、と思った

ずっと隠していたリスト カットが、ついに見つかってしまった


風「ちょっと見せて」

勝「あ、っ、」

風「あー…意外としっかりやってるなぁ…」

隠さなきゃ、とか何か言って弁解しなきゃ、とか思うのに、何の言葉も思い浮かばないし、何の行動もできない

まるで、体が石になったみたいに動かない



風「勝利、他にもカッター持ってるでしょ。どこにある？」

勝「…っ、」

風「あー…いいや、ちょっと下行こう」

何の言葉も言えなくて、ずっと頭が真っ白

きっと、風磨くんもけんてぃーも幻滅していると思う



なんで、こんなに何も出来ないやつなんだって

何で、こんなに問題ばかりおこすんだって



健「勝利、ちょっとお話ししよう？」

勝「…っ、」

風磨くんと一緒に下に降りて、ソファーに座らされた

けんてぃーと風磨くんは、少しふたりで話をしていたから、そのときに全部聞いたんだと思う


けんてぃーは、まるで自分もどこか痛むみたいに悲しそうな顔をしていた



健「なんで、こんな事したの…？」

なんで…なんて、分からない

理由なんか分からない、でも、何か言わなきゃ


何か言わなきゃと必死に口を開けたり、閉めたりを繰り返して


勝「うぅぅ、…っ、っ、ごめ、なさい、ッ、」

健「勝利…」

やっと出てきたのは、子供みたいな謝罪と、大量の涙だった


泣くなんて、最低だ

俺に泣く権利なんかないのに

全部俺が悪くて、俺の責任なのに、泣いて逃げるなんて最低



勝「ごめ、なさい、っ、うぅぅ、っ、」

健「勝利、分かったから。落ち着いて」

泣くな

泣く権利なんてないんだって心の中で何度も自分を叱責して、それでも涙が止まらない


なんで、泣いてるんだ

泣いちゃいけない



勝「ごめ、なさ、っっ、」

健「勝利、謝るのはおしまい。
落ち着いて、ちゃんと話そう？」


あぁ、もう謝ることすら許されないんだ


弁解することすら許されないと分かって、ますます涙が止まらなくなって、そんな自分がまた嫌いになる



自分を傷つけることしか出来なくて

色んな人に心配をかけて

それなのに、泣くことしかできない



勝「はぁ、っ、はぁ、はぁ、っ、」

健「…勝利？大丈夫？」

勝「…っ、っ、はぁ！はぁっ、はぁ、！」

健「勝利！？」


俺は、なんて弱いんだろう


弱い自分が、大嫌いだ

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