シェアハウス物語17

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S.S.side

勝「…おはよう」

マネ「おはよう。朝早いけど、頑張ってね」

今日も早朝から撮影

昨日の喧嘩は、結局何も解決していない。…っていうか、俺が部屋に逃げたから解決するきっかけすらなかったんだけど


…ダメだ、なんか昨日の重い雰囲気を自分で引きずっている


「カット！勝利くん！そこ違う！」

勝「すいません！」

また、NGを出しちゃった
このシーンは、比較的簡単なところなのに…

スタッフの全員が呆れた顔をしているような気がする


早く、早くOKを出さなきゃ

信頼を失いたくない



北山「勝利、大丈夫か？ちょっと休もう」

勝「いや、大丈夫です！すみません！」

一緒に共演してる北山くんが優しく声をかけてくれるけど、その言葉すら信じられない

きっと、北山くんだって俺の事呆れていると思う


ダメだ、何を信じていいのか、もう分からない




勝「もう一度やらせてください！」

早くOKを出さなきゃ


「違う！そうじゃないんだって！」

信頼を取り戻すために


勝「もう一回、お願いします！」

結果を出して、次に繋げるために、ひとりで戦わなければ



.



「勝利くん、今日はもう終わりにしよう」

このままやっていても意味がない、と監督に言われてしまった

結局かなり時間が押して、それなのに全くいい演技が出来なかった



最悪だ

みんな呆れていると思う

…俺は、なんて無価値な人間なんだろう



部屋で明日の台本を確認しなきゃと思っても、今日の失敗を引きずって台本を覚えられない


自分のこういうところが嫌い

大嫌い





机を見たときに、ふと目についたのは、カッターナイフ

勝「…っ、」

そこからは、もう無意識

カッターナイフを手に取って、手首へそっと近づけて


勝「痛っ…」

自分の体に、傷をつけた




自分を傷つけている時は、痛みが強くて一瞬だけ悩みを忘れられて、いつの間にか傷つけることが癖になってしまった



勝「…っ、」

どんどん増えていく傷跡

あぁ、このまま消えてしまいたい、なんて本気で思っていた

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