シェアハウス物語17

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K.F.side

「やっぱりただの捻挫だったー！心配かけちゃってごめんねー！」

中島からの電話をうけて、やっと深く呼吸が出来たような気がした


はー…、良かったぁ…

中島が何か大怪我していたらどうしようって、実はかなりネガティブになっていたから



.



「じゃあこの部分の照明を明るくして、ステージがちゃんと見えるようにしよう」

風「うん、それがいいと思う」

何も怪我がなかったとはいえ、今回の事故が起きてしまったのは反省しなければいけない



今回は軽い捻挫で済んだだけで、運が悪ければ大怪我にも繋がりかねない

それに、明日はこんな事故絶対おこしちゃいけない



「よし、明日朝一で確認しよう」

風「うん」

安全に、尚且つ中島のソロの世界観を崩さないように

話し合いが終わった時には、日付が変わっていた




やっとホテルに着いたのは、深夜1時頃

自販機で水でも買おうかなとロビーに行くと、そこには見なれた後ろ姿



風「よ」

健「あっ菊池」

何回も「ド中島で歩くな」と注意しても、相変わらず夜は変装をしてくれない

夜でもサングラスかけてきてほしいんだけど




健「こんな時間まで打ち合わせ？」

風「うん、まぁ」

健「ごめんね。俺のせいで迷惑かけちゃった」


そう言って、中島がちょっと笑う

…その中島の笑顔は、俺が一番嫌いな笑顔だった


ちょっと切なそうな、無理矢理笑っている笑顔



笑いたくないなら、笑わなくていい

俺らの前では無理して笑わなくていい

何回も何回もそう伝えているけれど、なかなか伝わらなくてもどかしい




言いたいことはたくさんあるはずなのに、相変わらず口下手だからうまく言えない


言葉をかける代わりに、温かいお茶を買って中島に手渡した



健「ん？くれるの？」

風「うん。それ飲んで、ゆっくり寝てください」

健「…うん！ありがとう。嬉しい！」

ただ、温かいお茶を買ってあげただけなのに、宝物を見つけたみたいに目をキラキラさせて

ちょっとは元気になったみたいで、ホッとした





健「それじゃ、おやすみ」

風「おやすみなさい」

俺がいる

勝利も、松島も、マリウスもいる



だから大丈夫だよ、中島

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