シェアハウス物語16

痛いのなくなれ【K.F.】 ページ10

N.K.side

今日は、メンバー全員でダンスの振り入れ

新しいダンスを覚えることは楽しいし、踊ることも好きだからいいリフレッシュだけど、緊張感もつねにある

「健人、そこの移動もう少し早く」

健「はい」

少しの油断が怪我につながるし、少しぼーっとしていたらすぐに置いていかれる


振り入れの時は、結構みんな必死

でもこの必死な過程があっていいものができるから、頑張らなきゃいけない




健「…ん？」

鏡を見て、シンメの位置で踊るあいつに違和感を感じた

なんか、動きがゆっくりじゃないか…？
キレがないっていうか…


「風磨！キレが悪い！！」

風「…はい、すいません」

案の定、振付師にも動きのキレがないことを注意されていた




何年も一緒にやっていると、メンバーの体調とかその日の状態とか気分とか色々分かるようになってくる

菊池なんて、10年以上一緒にやってるから尚更

数秒見ただけで、菊池のコンディションとかそういうの全部わかる



「風磨！そこのターン遅い！」

風「…っす」

あー…あいつ、どっか痛めてるな

だだ、どこが痛めているのか、まではさすがに分からない
足とかかな。菊池って体硬いから、結構痛めやすいんだよね


振り入れ終わった後は、いつも5人だけで残って練習するんだけど
様子みて無理そうだったら今日は早めに帰らせよう



.



聡「あの部分めっちゃ難しかったねぇ」

勝「聡くん、途中で意味わからなくなってたもんね(笑)」

マリ「あとで一緒に練習しよー」

年下3人が喋っている声を聞きながら、俺は隅に座っている菊池の側へ


健「菊池」

風「…ん？なに」


「なに？」だって

とぼけても無駄だからな



健「どこか痛めてるでしょ。どこ？」

風「え…？いや、別に」

健「どこ？言わないと、練習参加させないよ」


気まずそうに目を動かす菊池をじっと見つめる


誤魔化そうとしたって無理だからな

何年一緒にいると思っているんだ



健「菊池」

風「…腰、痛めて」

健「あぁ腰か…」

トントン、と腰を軽く叩く菊池は
痛そうに顔を歪めていた

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