シェアハウス物語16

Cocoa【M.S.】 ページ26

M.S.side

聡「物足りないや、物足りないやー♪」

ご機嫌に小さく鼻歌を歌いながら、家を目指して歩く

鼻歌を歌いながら歩くなんて子供っぽいよね(笑)


でも、嬉しくて楽しくて、思わず歌っちゃう！

それぐらい、今、俺はハイテンション♪♪




今日はオフだったけど、顔見知りの先生がやっているダンスレッスンに行ってきた


「聡、上手になったな」

聡「ほんとですか！？」

「うん、いい感じだったよ」

厳しい先生で、いつも怒られてばかりなんだけど、今日はレッスンが終わってから「上手になった」って褒めてくれた！

嬉しい！嬉しい、嬉しい！

もっとダンス頑張りたい！！




聡「ただいまー！！」

ハイテンションのまま玄関を開ける


玄関には、風磨くんの靴だけが置かれていた

他のみんなはまだみんな仕事かな？




聡「風磨くん、ただいま！」

風「ん、」

聡「…っ、」


風磨くんの顔を見て、瞬時に良くない空気を感じ取った

ハイテンションだった気持ちが、スーッと急激に下がっていくのを感じる



聡「…風磨くん……？」

風「松島、ちょっとそこ座って」

聡「う、うん…」


風磨くん、何か怒ってる……



風「…何か、今日、忘れてることないですか？」

聡「え、今日……？」


今日、忘れてる、こと…？

え、仕事…ではない
仕事は今日、絶対に何もなかった

メンバー会議…でもない
だって、風磨くん以外は今日仕事だし


他のこと、って何…

えっと、えっと、…



風「はぁ…」

大きなため息をつかれて、体がぎゅっと固まった



風「…病院」

聡「えっ？」

風「お前、今日通院日なんじゃないの？
病院から電話かかってきましたけど」

聡「えっ、あ…ほんとだ…」


あっあぁ、ほんとだ、病院だ

ダンスレッスン入れちゃって、すっかり忘れてた…

あとで電話して、予約し直してもらおうっと



…でも、よかった

仕事の事じゃなくて


風磨くんがあんなに怖い顔してたから、仕事の事かと思って焦ったぁ…(笑)




聡「病院、あとで電話して予約し直すね」

風「…、」

聡「…えっ？」


予約取り直すから大丈夫って言ったし、もうこの話は終わりかなと思ったのに…風磨くんはまだ怒ったような顔をしてた



風「…あのなぁ……」

聡「…っ、」

なんで、そんなに怒るんだろう


予約し直せばいい話じゃないの？

なんでそんなに怒られなきゃいけないのか、分かんない

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