シェアハウス物語15

スマイル【S.S.】 ページ6

S.S.side

忘れたくても忘れられない、
トラウマになっている事がある


高校2年生の冬


その頃、仕事が忙しくて高校も休みがちで

先生にも「時間がある時は絶対に来い」とか
プレッシャーかけられてて


勝「…っ…」

起きた時から、お腹に違和感があったけど
これぐらいなら何とかなるだろう、なんて甘く考えて高校へ


これが、間違いだった





「えーなので、ここが…」


四時間目、数学の授業


仕事がある俺にとって、授業が受けられるのは貴重

ちゃんと集中しなきゃいけないって分かってるけど
全く集中できない



勝「…ふぅ…っ…」

お腹が、気持ち悪い

左手をそっとお腹に当てると、
ぐるぐると動いているのが伝わる



明らかに朝よりも体調は悪化していて

朝から続くお腹の違和感は、吐き気に変わっていた



気持ち悪い…



勝「うっ…っ…」

ツーっと冷や汗が制服の中を通った


ヤバい…

なんか急に、吐きそう…



勝「…っ…はぁ、っ…」

自覚したら、一気に気持ち悪さが増して

胃がゴポゴポとよく分からない音を立てて
質量を持ったものが上がってくる


勝「…うっっ、…っ…」

ヤバい、どうしよう

助けて…っ…



勝「おぇぇ…っ…うぇっ…」

「きゃー！！」

ツンとした吐瀉物の臭いがして、
制服や手が、吐瀉物でもうぐちゃぐちゃ


一瞬遅れて、自分が何をしてしまったのかを理解した


吐いてしまった

クラス中の人がみている前で




「うわぁマジか…」

「アイドルも吐くんだ…」

「きったねぇ…」

蔑むような言葉をたくさん浴びせられた



「片付けるからちょっとどいてー」

吐瀉物を、先生に片付けさせた


勝「…っ…」

吐く瞬間を、たくさんの人に見られた




恥ずかしくて、情けなくて、怖くて

全部がトラウマで



それから、「吐く」ということに強い恐怖を感じるようになった


自分が吐くのはもちろん、
人が吐いているのもダメ

吐くことを考えるだけで、バクバクと動悸がする





大人になった今でも、その恐怖はなくなっていない

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