シェアハウス物語15

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K.F.side

どうせ飯食ってないだろうな

まぁ寝てたらいいけど、起きてたら何か食わせよう

なんて軽い気持ちで中島の部屋を訪ねたら、
真っ赤な顔して倒れ込んできた



健「はぁ、はぁ、っ、」

風「うわ、熱やばいなお前」

中島が持っていた体温計で熱を測ると38.5℃
こんなに体調悪いって予想してなかったんですけど…

風「冷えピタ一回取るよ？
これじゃ意味ないから、張り替えよう」

健「ん…、」

髪の毛とか巻き込んで、くちゃくちゃになってる冷えピタを変える

中島さん、意外と大雑把なところあるんだよなー
これじゃ、全然冷やせてないですよ



風「寝てた？」

健「いや、なんか眠れなくて…」

風「そっか」

まあこんなに熱が高いとそうなるか…


風「薬は？」

健「飲んだよ」

風「買ったの？」

健「…いや、家から、持ってきた…」

視線を俺に合わせないようにして気まずそうにしてますけど…
色々、もうバレてますよ

体温計も、冷えピタも、薬も持参するって
それはもう「家にいる時から自覚症状ありました」と
言っているようなものだ




風「いつから、おかしいと思ってたの」

健「えっと…、」

風「中島」

健「…今朝から、熱っぽかった、です…」

…でしょうね

本当にもう…なんで人に頼ることが
こんなに苦手なのかなぁこの人は



熱があってもロケを休むことは正直厳しかったかもしれない
ロケはスタッフとかメンバーとか
色んな人の予定を合わせる必要があるから


でも、誰かに伝えといてくれれば
少し休ませたり色々工夫できるんだけどなぁ

全然頼らずにひとりでなんとかしようとしちゃうから
結局こうやってしんどい思いをする羽目になるわけで


最年長だから、とか、仕事だからとかじゃなくて

もう少し人に頼れるようになってほしいものだ





風「変なプロ意識で、ひとりで頑張ろうとするな。いい？」

健「はい…」

風「今は寒くないんだよね？
じゃあちょっと冷やそう。そしたら寝れるかも」

震えてる様子はなかったから、体を冷やして

薬が効いたのもあって、すぐに眠って
翌朝には元気になっていた




健「ありがとね」

風「ん」


目をじっと見て言われた「ありがとう」は
嬉しかったけど、やっぱり照れ臭かった







【冬が来たよ 完】

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