シェアハウス物語15

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K.F.side

健「もうちょっと甘えてくれていいのにね」

泣き疲れて寝ちゃった勝利の涙を拭きながら中島が呟く


風「そうだな」

勝利は、たぶん嘔吐恐怖症だ

大学の友人にひとり、軽い嘔吐恐怖症のやつがいるから
勝利の話を聞きながらすぐにその名前が浮かんだ



ただ、ここまで酷い嘔吐恐怖症はなかなかないと思うし
それを知らなかった自分たちが不甲斐なくて


風「もっと頼ってほしいな」

健「そうだね」


勝利には、たくさん我慢させてしまったと思う

大人になることを必要以上に迫られて
そして、勝利はその期待に応えて、あっという間に大人になった


その要因のひとつに、きっと俺と中島の関係があって

申し訳ないことをしたと、思っている



健「ほんっと寝顔が可愛い！」

風「お前、それずっと言ってるよな」

健「だって可愛いんだもん」


だからこそ、これからは思いっきり甘えてほしいし
わがまま言ってほしいし

たくさんたくさん、笑ってほしい



.



勝「んぅ…」

風「あっ起きた。おはよ」

あれから2時間ほど熟睡した勝利は
だいぶ顔色も良くなって

熱も微熱まで落ち着いた



勝利が下に行きたいと言うから、
一緒にリビングへ



マリ「あっ勝利だ！！」

聡「大丈夫？元気になった？」

勝「うん、もう平気」

そう返事をして、ソファーに座っている松島の横に座って
頭を肩に乗せた



勝「これ、何見てるの？」

聡「んー？ドラマだよ。
巻き戻そうか？最初から観る？」

勝「別にいい」

聡「そっか」

きっと、テレビが観たいわけでも
ドラマの内容に関心があるわけでもなく

ただただちょっと甘えたいだけなんだろうね



首元を触ってみたり、松島の膝に頭をのせてみたり

猫かお前は(笑)



聡「もー勝利、くすぐったいよー」

マリ「勝利、子供みたい！」

勝「お前よりは子供っぽくありませーん！！」

マリ「ひどーい！」

松島に甘えてみたり、マリウスとつまらない言い合いをする姿は
ほんとに子供みたいで


聡「うわっ！びっくりした！」

勝「あははっ！！」


楽しそうに笑った顔は、

キラキラとしていてとても眩しかった








【スマイル 完】

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