シェアハウス物語15

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S.S.side

ツンと鼻につく、独特な臭い

ゴミ箱の中には自分が吐いてしまったものが
たくさん入っていた


勝「っ、はぁ、はぁ、」

吐いてしまった

その事実を突きつけられて、
心臓がドキンと大きな音をたてる


いやだ、汚い

怖い、怖い、いやだ、



「うわぁ、汚ねぇ」


勝「ハァッハァッ…っ…！！」

健「勝利！？」

風「え、また過呼吸？」

汚い、怖い、恥ずかしい

頭にあるのはただそれだけ


吐いてしまったことが本当に嫌で
恐怖感で頭がいっぱい



勝「ハァッハァッっ、っ、ハァッ！」

どうしよう、嫌だ…っ…



完全にパニックになっていると
ぎゅっとけんてぃーに抱きしめられる


健「勝利、大丈夫。」

勝「ハァッハァッ、やめ、きたな、い、っ、」

健「汚くないよ。大丈夫」

汚くない…？

吐いちゃったのに、汚くないの…？



風「勝利ごめんな。急に吐いちゃったから
びっくりしちゃったな。」

勝「ハァッハァッっ、ごめ、なさっ…」

風「勝利は謝らなくていいの。
しんどかったな」


風磨くんと、けんてぃーはすごい


さっきまで吐いてしまったことしか考えられなかったのに
気がつけば気持ちが楽になって

ゴミ箱も、見えないところに隠してくれて
さらに落ち着いてきた



勝「ハァッ…っ…ふぅっ…」

風「ちょっと苦しいな。一緒に息して苦しいの楽にしようね」

勝「…んっ、っ」

風「勝利、ゆっくり息吸ってー…
今度はゆっくり吐いてー…」

勝「はぁっ、ふっ、ふぅっ、」

健「勝利、大丈夫だよ。
上手にできてるよ」


風磨くんの教えてくれる呼吸通りには
全然できなくて

少し楽になって、また苦しくなってを繰り返して



風「勝利、大丈夫。
焦らなくていいよ」

健「上手にできてるよ。
大丈夫、大丈夫」

でも、風磨くんとけんてぃーは
ずっと優しく声をかけ続けてくれて、やっと苦しいのが楽になった




勝「ふぅ、ふぅー…」

健「落ち着いたかな？頑張ったね。」

風「ちょっと口の中気持ち悪いな。
口ゆすごう」

洗面所で口をゆすいで、
またベットに戻るとけんてぃーに手を握られた



健「勝利。
勝利がさ、こんなにしんどくなっちゃった理由、教えてくれない？」

勝「…っ…」

健「勝利ひとりでまた苦しいの我慢するのは
俺らも辛いな」


ずっと誰にも理解してもらえないと思っていた

自分が弱いだけだと思っていた

だから、友達にも、家族にすら相談したことなかったのに



勝「あの、っ、」

ふたりには、話してみようと思えた

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