シェアハウス物語13

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S.S.side

けんてぃーが探してくれた病院は
自然に囲まれたところにポツンとある、小さな病院


「松島さん、こんにちは。
こちらどうぞ」

笑顔の素敵な、優しそうなおじいちゃん先生だった


その雰囲気にホッとしたのか
聡はちゃんと自分の体調を言うことができて先生も熱心に聴いてくれた




「松島さん、お薬の副作用が出ちゃうのも
薬の効きがあまり良くないのも、絶対に自分のせいじゃないよ」

聡「…っ…」

「大丈夫。少し時間はかかるかもしれないけど
絶対に良くなるからね」

聡「…っ…はい…」

「泣かなくていいよー！！
せっかくの可愛い顔が台無しだよ〜」


いい先生に診てもらえて、本当によかった



新しい薬と、素敵な先生と、そして、俺ら

全部に頼っていいから
いろんな物と協力しながら、ゆっくり治していこうね







風「いい病院で良かったなー」

勝「そうですね。ほんとに良かった」



風「あの先生、ジブリに出てきそうじゃない？」

勝「いや、意味わからないです…(笑)」


帰りの車、雰囲気を盛り上げようと
色んな話をしてくれる風磨くん

その話に相槌をうつ俺




風「松島ー、今度はどうしたのよ」

聡「…なんでも、ない」

風「何でもない人はそんな泣きそうな顔しないの」


そして、なぜかひどく落ち込んだ様子の聡



風「なに、病院が嫌だった？先生？
可愛い美人の先生が良かったか？」

聡「…違う」

風「じゃあなに。言わなきゃ分かんない」


なんていいながら、風磨くんも俺も
だいたいは分かっている

でもここで、聡が自分で自分の気持ちを
表現することに意味があるんだと思う





聡「仕事、戻るの遅くなっちゃった…」


…やっぱり

それだろうなとは思っていた



新しい薬の効き目が分からないから、
もう一週間仕事を休むことになって

仕事復帰は、予定よりも遅くなった




でもさ、そんなのはとりあえず今はいいじゃん


風「今の松島の仕事は、ちゃんと薬飲んで、少しずつ体調良くなって。

で、俺らに笑顔でおかえりって言うこと」

聡「…うん」

風「俺らに、おかえり言ってよ。
今は、それだけで充分。ね？」

聡「うん」



いつも笑顔でニコニコ笑っている、君

必死に病気と向き合って頑張っている、君

元気で、明るくて、頑張り屋で
いいところだらけの君が







「おかえりなさい！！」



いつか、自分の魅力にもっともっと自信を持てる日が
来ますように








【君って 完】

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