33話 ページ36
ぜぇぜぇ、と息の切れる音が耳元でずっと聞こえる。
その煩わしい吐息は、自分のものであると気付けないくらい、私の脳内と精神は混濁していてどうしようもなかった。
彼に拒否する様な言葉を投げかけてしまった自分と、過去が恨めしくて仕方が無い。
過去の手引きから逃げるように、長い廊下を走る。
ぐんぐんとスピードを上げ、廊下を曲がった瞬間
「…っ」
『う、っわ……！？』
思いっきり誰かにぶつかってしまい、その場に尻餅をついてしまう。
「大丈夫かい？全く、廊下は走ってはいけないよ」
聞き慣れた声と、言葉遣い。見上げてみると、そこには私に手を差し伸べるジョゼフさんがいた。
『ジョ、ゼフさん……』
ぐいっと引っ張られ、よろけながらもその場に立った。ジョゼフさんは小柄といえ、私よりも身長は高いので、私が彼を見上げる形となる。
「それで…どうしたんだい？こんなに顔を真っ青にして、廊下を走るなんて」
ジョゼフさんの心地よい声が私の耳に抵抗なく入ってゆく。
そのせいか、ぎりぎりに張り詰めていた糸が切れるように、涙が溢れてきた。
尋ねられているのに、満足に答えられないほど私は声を上げて泣いた。泣きじゃくった。
「A…大丈夫、僕はここにいるよ。」
そんな私を抱き寄せてそう囁くジョゼフさんは、まるで赤子をあやす母親の様に見えた。
もしかして彼は、私に何があったのか分かっているのかもしれないし、分かっているからこそこうして胸を貸してくれているのかもしれない。
でも今の私にはどうでもいい事であった。もう少し、今はこうしていたい。
青白い月明かりが、私達2人を照らしていた。
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梨々華(プロフ) - ナ子さん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉(無事昇天) (2019年3月28日 23時) (
レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
ナ子 - え、なに、展開がすごく気になるんですけど…。（死にかけ） (2019年3月27日 9時) (レス) id: 848e96a0c3 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» ありがたきお言葉ありがとうございまぁぁぁぁぁぁす！！！！これからの展開にご期待くださァァ(うるさい) (2019年3月14日 19時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ(プロフ) - うおあぁああ！？展開がァアァ！Fooooooo！！！この小説すっごい好きです！これからも頑張ってください！！ (2019年3月14日 3時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - カレンダー(2017/10)やばさん» おぁぁぁぁ...嬉しいお言葉ありがとうございます！これからもシリアス投下して行きたいと思います笑 (2019年3月9日 13時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梨々華 | 作成日時：2019年2月16日 16時
