30話 ページ33
「坊や、もう時間でしょ？お父さんとお母さんの所へ帰ろう？」
「嫌だ…そしたら、もう会えなくなる…！」
「大丈夫、きっと会えるよ。約束するから」
「約束…？」
「そう！私と君だけの、約束。」
＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「…A、さん……？」
見方によっては銀色にも灰色にも見える二つの瞳が私を見つめている。
大きな音を立てたせいなのか、イソップくんは目覚めてしまったようだ。
『い、イソップくん…体は大丈夫…？』
「はい」
そこからお互いに口を開くことなく、暫し沈黙の時間が訪れた。
それは私にとって息苦しく、辛い時間であった。
もう部屋に帰ってしまおうか、と思ったけれどイソップくんが急に口を開いたので、そうにもいかなくなった。
「懐かしい夢を、見ていました」
ぼそりと放ったその呟きは、誰に向けた訳でもないだろうが、今の私を追い詰めるには丁度いい呟きであった。
『……。』
「Aさん。」
いつも通りの、彼の声。落ち着いた低い声。それが今は恐ろしい死神の囁きに聞こえた。
忌々しい過去と彼の声が混ざりあって、目眩がする。
「…顔を上げて」
無理だ。私は下を向いてその場にじっとしているのが精一杯で、彼の顔を見る余裕などある訳がなかった。
そのまま突っ立っていると、布の擦れる音とベッドの軋む音が聞こえてくる。
「僕は昔から貴女の事を知っていて、ずっと…好きでした。」
どうやら私の前に立っているようで、視界には少し汚れた靴と彼の影が映りこんだ。
「ここに来たのは貴女の事を追求する為でも、怖がらせる為でもない。」
分かってる、分かっているつもりでいた。しかし私の体は受け入れたく無いのか、今もこうしてガタガタ震えている。
手をきゅっと握られる。
「僕は、Aさんが」
次に来るであろう言葉に、私の心は絶叫した。
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梨々華(プロフ) - ナ子さん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉(無事昇天) (2019年3月28日 23時) (
レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
ナ子 - え、なに、展開がすごく気になるんですけど…。（死にかけ） (2019年3月27日 9時) (レス) id: 848e96a0c3 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» ありがたきお言葉ありがとうございまぁぁぁぁぁぁす！！！！これからの展開にご期待くださァァ(うるさい) (2019年3月14日 19時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ(プロフ) - うおあぁああ！？展開がァアァ！Fooooooo！！！この小説すっごい好きです！これからも頑張ってください！！ (2019年3月14日 3時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - カレンダー(2017/10)やばさん» おぁぁぁぁ...嬉しいお言葉ありがとうございます！これからもシリアス投下して行きたいと思います笑 (2019年3月9日 13時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梨々華 | 作成日時：2019年2月16日 16時
