29話 ページ32
「後は彼が目覚めるのを待つだけね。私はやる事があるから…A、傍に居てもらえる?」
『うん、分かった』
他の人の治療に向かったであろうエミリーさんの背中を見届けた後、彼のベッドの傍に椅子を持ってきて座る。
率直に、少し怖かった。傷だらけの彼を見た時、今にも死んでしまいそうだったから。
彼らはサバイバーだから。時にはこんな大怪我を負ってしまうのは分かる。
でも、怖い。何時もこの荘園で笑い合っている子達が、ボロボロになって消えてしまうのが。
私が永遠に技術を身に付けず、最弱のままでいるのは、これが理由である。
私は、誰一人、殺したくない。
「…やだ………かえ、りたく…ない…」
すると突如彼の声が聞こえたので、目覚めたのかと思い顔を上げたが、どうやら寝言だったようだ。
『何の夢を見てるのかな…』
「…また、……あえる……やく、そく…」
その彼の言葉で過去の記憶が急激に蘇った。
あまりの衝撃に、勢い良く立ち上がってベッドから後ずさる。
そのおかげで、椅子はがたりと音を立てて倒れた。
『私達が、また会える……約束…!!』
彼の言葉。一目惚れ。寝言。そして過去。
全てが、繋がっていた。
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梨々華(プロフ) - ナ子さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉(無事昇天) (2019年3月28日 23時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
ナ子 - え、なに、展開がすごく気になるんですけど…。(死にかけ) (2019年3月27日 9時) (レス) id: 848e96a0c3 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» ありがたきお言葉ありがとうございまぁぁぁぁぁぁす!!!!これからの展開にご期待くださァァ(うるさい) (2019年3月14日 19時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ(プロフ) - うおあぁああ!?展開がァアァ!Fooooooo!!!この小説すっごい好きです!これからも頑張ってください!! (2019年3月14日 3時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - カレンダー(2017/10)やばさん» おぁぁぁぁ...嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもシリアス投下して行きたいと思います笑 (2019年3月9日 13時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨々華 | 作成日時:2019年2月16日 16時