miraclesound〜奇跡を奏でる〜

分裂 ページ13

安「青島…」

安保が裕人の方を向く。
安保の手に力が、入ってるのが見えた。


安「青島…、また音楽やらねー？」

桑「おい！」

桑田が止めるが安保は引き下がらない。
安保の中には強い決心があるんだ。

またみんなで音楽を、やりたいっていう決心が。

青「俺はやらねーよ」

裕人はやらないって言った。
そんなはずないのに。

やりたいはずなのに。

素直になれない裕人。


安「青島だってほんとはやりたいんだろ。
自分の気持ちに素直になれないだけだろ！！」

その時＿。


鈍い音が聞こえた。

青「うるせぇよ！」


裕人の拳が安保の頬に当たった。

高「安保ちゃん！」


高杢は安保に寄り添う。

桑「おいてめぇ、殴ることねーだろ！」


また鈍い音がした。
桑田に拳が裕人に当たったんだ。

青「うるせぇんだよ！」

青島は桑田に拳をぶつける。
桑田が倒れた。

どうしてだろう。
こうなったのは。

高「青島！！」

高杢も裕人に近づくが殴られてしまう。

何も出来ない。
私は。
どうしたらいい。


青「俺がいないと吹奏楽もできねーかよ！
お前らへなちょこかよ！！」


裕人の顔が歪む。
でも私はわかった。

裕人が辛い時にする癖を見逃さなかった。

「待って裕人」

屋上から出てこうとする裕人を止めた。

何をしたらいいのか。
そんなの分かんないけど。

でも。

「辛いんでしょ」

青「あ？」

「下唇噛んでる」

裕人は、はっとした顔をした。

小さい頃からの癖。
辛いことや苦しいことが起こると下唇を噛む。

辛いんだ。
苦しいんだ。

青「女のお前に…。
何が分かるんだよ！！」


そして裕人の拳が私の目の前にきた。

私殴られるんだ。
裕人に。

分かるってるつもりだった。
でも、分かってなかったんだ。

ごめんね。裕人。

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