エリンジウム (ページ12)

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A side

｢ただいま｣

そう1人誰も居ない部屋につぶやく。

旦那のドンギュは今日は泊まりがけの仕事で家を留守にしている。

ジェミナを呼べば良かった。そう思ってももう遅い。

さっきまであった右手の温もりが嘘みたいに今はすごく冷たい。

世間では理想の夫婦なんて言われてるけどそんなのとっくの昔に終わってる。

理由は簡単ドンギュの心の中に私は最初からいなかったから。

小さい頃から容姿端麗で特に苦労した事が無く、欲しいものが全て手に入ってた私が初めて負けた感じ

最初は受け入れたくなかったけど紛れもなくこれは事実。

所詮戦略結婚。結婚なんて形だけ。

なんて思ってたけどいつの間にか私はドンギュの事が本に好きになってたみたい。

でも彼は違ってたみたい。結婚した途端浮気三昧。

浮気なんて認めたくなかったけどこれは紛れもない事実。

毎日帰ってくる度に匂う女の子香水の匂い。

ずっとスマホを見ているあなた。

そんな寂しさを埋めるように現れたのがジェミン。

ヌナの唯一の光なんだから私をここから連れ出して。