声というか、もはや音 ページ29
緑谷「先生！」
相澤「大丈夫だ。それよりロックロックの止血と、ナイフを拾っておけ。トガは……血を使うらしい」
ロックロックの肩に手を回しながら、相澤先生の傷の様子も一応見ておく。
……んー…どうにも肩ってのが嫌だよなぁ。
捕縛帯使うためには腕、すなわち肩を使うのが大前提。
すごく深い傷ってわけじゃなさそうだけど、出血はそれなりにあるし、何よりかなり痛そうだ。
次はロックロックだ。
こちらは脇腹をザックリ。これ以上の作戦参加は難しそう。
『ロックロック…！大丈夫ですか！？』
身体を動かして、なんとか呼吸が楽な体勢にさせる。意識は…ある。
心臓、は少し早いけど規則正しく動いている。呼吸もしっかりできている。
……よし、とりあえず死んでしまうような状況ではないようだ。
『先生、ロックロックは……ッうわ！！』
視界がグニャンと大きく歪む。
脳が揺さぶられるような感覚に一瞬吐きそうになったが、ぐっと堪える。
視界じゃない。
この場所自体が歪み、唸り、めちゃくちゃな動きをしているのだ。
その動きによる地響きの中に、微かに叫び声が聞こえた。
入中さんだ。
真横にきた相澤先生にロックロックを預けながら、よろけていた出久の腕を掴む。
お互いにお互いを支えていないと、すぐにでも転んでコンクリートの波に飲まれそうだ。
『声！！声が聞こえた！！多分入中さんだ！』
緑谷「！……ッ音が反響しまくっててどこから聞こえてるのか分からない……！！」
出久も飲まれないように私の腕を掴んでバランスをとっている。
視界の端々には分断されていた他の人たちも見えた。
たしか、たしか…！
入中さんがいる場所は……！！！
その時、一際大きな奇声が響いてきた。
相変わらず反響しまくってるし、声かどうかすら判別が難しいほどの“音”だけど……こんだけ大きければ……！！
『上だぁぁぁ！！！！いっけ、出久！！！』
出久を掴んでいた腕に力をこめて踏ん張る。出久は一瞬躊躇うようにこちらを見たけど、すぐ上を見た。
出久の個性が発動されるより一瞬、本当に一瞬だけ早く、やや上方向の壁に向かって思いっきり彼をぶん投げた。
壁に脚で着地した出久はその勢いを殺さないまま、個性を使って声の方向へ跳んでいく。
……oh……確かにパワーゴリラと称される(不本意)私が思いっきりぶん投げたとはいえ、その異様な速さに少しビビった。
つかパワーゴリラって最初に言い始めたの誰？寧人か？？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 610人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れん - とてもこのお話が好きです！これからも続きを楽しみに待っています(*´∇｀*) (12月19日 19時) (
レス) @page31 id: 3df412bb1a (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - いきなりすみません🙇出来たら全員のキャラに愛されたいです！（恋愛的に）あと落ちは出来れば全員落ちみたいなのが見てみたいです！無理せずに頑張ってくださいね！ (2023年1月16日 16時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
ほほえみ(プロフ) - ザイさん» コメントありがとうございます！なんか太宰さんが一番絡ませやすいんですよね……それはそうと太宰治はイケメン、この世の真理ですよね… (2022年9月21日 22時) (レス) id: 3fcb2fb2e7 (このIDを非表示/違反報告)
ほほえみ(プロフ) - 奥山乃愛さん» コメントありがとうございます！サーめちゃくちゃかっこいいですよね……(噛み締め) (2022年9月21日 22時) (レス) id: 3fcb2fb2e7 (このIDを非表示/違反報告)
ザイ(プロフ) - 太宰さん…………イケメンすぎて私の心臓が吹っ飛びそう………。 (2022年9月19日 23時) (レス) @page9 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほほえみ | 作成日時：2020年11月5日 23時
