悪いが君たち、私は洋酒は好かないんだ［名探偵コナン］

ブラッドハウンド ページ40

Aside


あの子らには言わないでおこう


父上からの予想外の知らせを聞いたとき、
何故イギリスに行くのかなどを考えるよりも、そのことが頭によぎった



大事なあの子らを泣かせたくはない


マァ、私のために泣いてくれるかは私には分からないことだが、気を使わせてしまうのは確(たし)かなことだろう



有「…なんで…？」



私が聞くより早く母上はそう問う




優「…Aの痣についてだ」



その一言で全てを察した


母上も気づいただろう


父上は一呼吸置いてから何かを言おうとした




『なるほどネ…わたった！』



だが私は父上の言葉を遮るようにして早口でそう言い、椅子から腰を上げた。


『日時が決まったら早めに言って欲しいナ！』


と、またも早口でまくしたて私はその場を離れた



自分のことで精一杯で二人の顔は見れなかった






________________






…自分でも何となくわかっていたことである


頭ではわかっていてもいざ人から…ましてや父上から話されると思うと、胸の辺りからヒヤリと嫌な感じが喉を這い、うまく呼吸が出来ない。



つまり、深刻な事態なのだろう

私の愛するこの国では対処出来ないほどの





死 ぬということが決まったわけではない


ただ自分のすぐ近くに死が寄り添っているということがいつもよりリアルに感じた




死は怖くない



今のこの江戸川Aという人間の人生は、なかったはずなのだから




私は、自分が死をどう感じているのかがわからなかった



自分の気持ちなのにネ




『それに一度経験しているジャァないか…』





私は平井太郎であった頃の最後を思い起こす





最後の日…





……





…………？





アレ？







『わからないな…？』

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